第31話

大和は模擬戦用に用意された木刀を手に取り、一つ目の試験へと挑んだ。

相手は大和より一回り大きい兵士で、手には同じように剣と盾を持っている。


「おい、盾はいらないのか? 」

「必要ない。」

「わかった。では、試験を開始する。始めっ! 」


大和は合図と同時に兵士に向かって飛び出した。

兵士は盾でガードしながら、大和へと近づく。

そして大和の攻撃を受け止め、大振りの反撃をしてきた。

そこを見逃さない大和。最初の攻撃は誘いであった。

剣を振りかぶっている兵士の背後に周り、首に木刀を突き付けたところで勝負あり。


「そこまで。第一試験合格だ。続いて第二試験に移る。」


続いて、第二試験。複数相手の戦闘である。

相手の兵士は三人。先ほどの兵士と同じ装備をしている。


「準備はいいな? 」

「ああ。」

「よし、では初めっ! 」


先程とは違い少し様子を見る大和。

三人の兵士はすかさず、大和を取り囲むように陣形をとる。

そして三人同時に、大和に向かって攻撃を仕掛けてきた。

大和は三人の攻撃を、しゃがんで刀で受け止め弾いた。

そして正面の兵士の腕をつかみ、後ろの兵士に投げつけた。

投げられた兵士は勢いよく、兵士と衝突し、二人とも手に持っていた剣を落とす。

最後に残った兵士に足払いをし、顔に刀を突き付け勝負あり。ものの数秒の出来事であった。


「勝負あり。合格だ。名は何という? 」

「大和だ。」

「そうか。お前は即戦力だ。軍に入ってもよろしく頼むぞ。」


コクっと頷く大和。

そして大和が無事合格して、安堵の表情を浮かべる白。

同時に、自分も早く戦いたいとわくわくしていた。


「では、次。そこの白髪。前に出ろ。」

「はい。」


白は何も武器を手に取らず、素手で試験に挑む。

基本に敵のほかの候補生たちも武器を使うのか、少しざわついていた。


「武器はいらんのか? 」

「ええ。」

「わかった。では、試験を開始する。始めっ! 」


試験が始まってすぐ、敵山の兵士が丸腰の白へと突っ込む。

が、白はその攻撃をひらりと躱し、相手の首へ手刀をお見舞いし、兵士は失神した。


「そこまで。次の試験に行くぞ。おい誰かこいつを医務室に。」


失神された兵士は医務室へと運ばれていった。


「準備はいいか? 」

「ええ。」

「よし、では初めっ! 」


白は三人の兵士に対して、自分から仕掛けに行った。

まず、正面の兵士に向かって、跳躍し攻撃する。

兵士はもちろん縦でガードをするが、そのたちを足場にし、

その勢いを利用し、兵士の頭上で回転し、後頭部へ踵蹴りを入れた。

その着地際二人の兵士が、白へと突っ込んでくるが、すかさず下段の回し蹴り。

そして、その兵士の剣を奪い、後ろから挟撃しようとしていた兵士の喉元へ剣を突き立て、勝負あり。


「そこまで。お前も合格だ。名は? 」

「白といいます。」

「お前も即戦力だ。頼むぞ。」

「はい。」


無事試験に合格した二人は、ハイタッチをした。

そしてその二人を見て自信がなくっている兵士も複数いた。

二人は合格の証書と軍所属の証をもらうため、別室へと移動することに。


「なんか簡単でしたね。」

「ああ、厳しい試験が待っていると聞いていたが。」

「ええ。ほかの皆さんは大丈夫でしょうか? 」

「皆なら大丈夫だろう。」


大和と白が試験をしている同時刻、ほかのメンバーも試験を受けている。

後衛、援護部隊を志願したエドは、試験内容を聞いていた。


「私はコンセ。第三後衛部隊隊長です。皆さん緊張せず試験に臨んでください。」


試験内要はこうである。

五つの距離別に並べられた的に、矢を当てるというものと、

遠距離で、動く的に矢を当てるという二つである。

エドはなんだかつまらなそうに話を聞いていた。


(厳しいとか聞いていた割にずいぶん簡単そーだな。さっさと終わらすか。)


「以上が試験内容です。何か質問なある者はいますか? 」

「…。」

「特になさそうですね。では、まず金髪のあなたから。」

「俺か。」

「前に出てください。」


最初に五つの距離別に並べられた的に矢を当てる試験。

エドは鋭い眼をして試験に臨んだ。

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三人の天才が神々の悪戯に挑むようです。 友碕 @tomozaki

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