#3 ナイトメアオブ・クリスマス
翌日は、冬休み最初の登校日だった。補習授業とやらがある。
休み時間、教室の隅の方で、俺は巴とひそひそ話していた。美月さんは日直当番なので、黒板を消したり、次の授業で使うプリントを準備したりと忙しそうだ。
意味ありげな笑みを浮かべながら、
「気に入ってくれたかい? 僕からのクリスマスプレゼントは」
「ありがとう。最高かよ。お前はやっぱり天才だ」
「
「確かに神がかったアイディアだった。
「お主も好きよのぅ。みーちゃん、着やせするタイプだと思うからさ、胸とか意外とグラマラスだったんじゃない?」
巴が両手で空中を揉むジェスチャーをしながら、ヒヒヒッと
「
昨日の美月さんを思い出しながら、しみじみと呟く俺。
「
通りがかった
「ちょっと卜部さぁ、瀬戸くんに悪影響与えないでくれる?」
「何で僕だけが悪者なのかな? こいつはスカした顔しているけど、もう欲望の沼に落ちてしまったのさ。ひひっ」
「ごめんね般若さん。俺達、今から二人だけの大事な話があるから」
「うわー寒気がするわ。琴梨、行こ」
般若あかりが身を震わせた。去ってゆく女子二人。だが、今は致し方ない。
「巴。
巴の切れ長の目が三日月形になった。
「ふーん。本当に眺めるだけ?」
「ああ。いわゆる美少女フィギュアやグラビアアイドルのポスターと同じ扱いだ。眺めて
「それ以上は何もなくていい? 夏輝の言う事なら何でも聞いてくれるのに?」
「えっ本当に? 何でも言う事聞いてくれんの?」
思わず身を乗り出す俺。興奮しつつも俺は、鼻息が荒くなっていないか心配になった。
「あっはは、
巴が悪徳商人のように揉み手をしながらにやりと笑う。切れ長の瞳が二重まぶたになった。
「十分一万円か。考えとくわ」
「バカだね。本当にバカだね」
リュックから顔を出したつづらの
「あれ。ところでお前今『遠隔操作』って言わなかったか?」
「うん。昨日は僕が自宅から直接あやつってたから、リアリティあったでしょ。僕、こう見えて意外と演技派だからね」
「という事は、式神美月さんの『中の人』はお前って事か?」
「そうだよ。色っぽかったでしょ。夏輝くん、私を抱きしめてぇ」
巴が身をくねらせた。
「うげ……」
ああ、何という不幸。
馬鹿な。昨日、「胸が苦しい」とか言ってしなだれかかってきたのはこいつだったのか。
そして、俺はこいつに
最悪すぎる。
襲い来る絶望。知りたくなかった真実。
「俺の心を
「あれ。夏輝、どこへ行くんだ?」
「トイレ。ちょっと吐きに行ってくる」
「あららぁ、お大事に」
イラスト
https://kakuyomu.jp/users/fullmoonkaguya/news/16817330657916772404
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