#9 消えてゆく青い炎
「巴。なんだっけ。前に言ってた、
「
「それだ。
「位牌山は知っている。しかし、先祖からは禁足地へ入れば
「問題ない。江戸時代に徳の高い僧によって
巴が高らかに
「頭領。でまかせかも知れんぞ」
「銃を撃ったのは
涼風が金色の瞳を光らせて
羽毛が逆立ち、巻き起こった青い炎が涼風の身を包む。有無を言わせぬその
「本当にごめん。こんなことで許してもらえるなんて思っていないけど」
「神力使いよ。それ以上自分を責めるな。過ぎたことよりも、これからどうするかを考えろ。一時でも心を通わせ合うことが出来て楽しかったぞ。では、さらばだ」
涼風と側近のアオサギ達が、青い輝きを放ちながら山の向こうへ飛び去ってゆく。
突然訪れた別れにどう言葉を
「元気で。本当にありがとう」
俺の住んでいた
胸がしめつけられ、やるせない悲しさで満たされてゆく。
光は、やがて見えなくなった。
⛩⛩⛩
「みんな、よく頑張ってくれた。本当にありがとう」
涼風を見送った後、宿禰さんが言った。
「俺、涼風たちに申し訳なくて」
「あのアオサギも言っていたじゃろう、自分を責める必要はないと。夏輝くんの気持ちは十分伝わっとるはずじゃ」
「そうでしょうか」
「ああ、間違いないよ。さて、氏子さん達が待っているのでわしはそろそろ行ってくるよ。体調が悪そうだから、夕食をとったら今日はゆっくり休みなさい。氏子さん達にはわしから説明しておくよ」
宿禰さんが、美月さんを連れて
すっかり暗くなった境内で、巴が俺の背中をぽんぽん叩いてくる。
「前から危なっかしいと思ってた。夏輝もみーちゃんも、
巴が大きなため息をつくと、夜風が吹いてまっすぐの髪がさらさらと揺れた。
「だけど、物の怪にもいい奴はいるし、人間にも悪い奴はいる。いつかどこかで分かり合える」
「あのねぇ夏輝」
「ナツキの言う事も、トモエの言う事もどっちも正しいとボクは思う。それぞれ立場や考えが違うんだから分かり合うのは難しい。人間でさえ、高齢者と若い世代で意見が真っ二つに割れて対立した結果がこれだよ。どんな道を選んでも、必ず誰かの不満が残る」
人と物の怪。ほんの少し心を通わせられたとしても、
頭痛がいよいよ増し、
そこからの
結局、
本当は新しい
次の日、目が覚めたら少しだけ元気になっていた。
⛩⛩⛩
学校へ行くと、思いがけぬ
「えっ? ぬい子さんが
「あの時は『
俺達が尋ねると、村椿さんが言った。
「うちのおばあちゃん、
「有難う。俺、今日の夕方、お礼を言いに行くよ」
「私も行きます」
「ただ、『
「それならあたしも手伝おうか? 家庭科は苦手だけど、頑張るからさ。任せなよ」
般若さんが腕まくりをする。
「般若の気持ちは有難いんだけどさ。本当に大丈夫なの? 中学の時に家庭科の授業で作ったエプロン……」
言いかけた巴に、般若さんが短いスカートをひらめかせてローキックをかました。
「ぐあっ! 暴力反対……」
「
そんな二人のやり取りを見ながら、思いがけぬ幸運に
俺と美月さんは、顔を見合わせて笑った。
⛩⛩⛩
その後の十日間は、
鈴が ちりちりと揺れる、ちりめん製の白魂と白蛇のミニサイズ
裏面のおめでたい
みんなで苦労して
手に取ると
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