#9 常世神(とこよがみ)
「やっと終わった……」
長い、長い戦いだった。
身を起こすと、少し
「つづら、大丈夫か。ごめんな。
つづらがうっすらと目を開ける。
「だいじょうぶだよ。約束したじゃないか。ボクはキミを助けるって」
「だけどさ。無理はしないでくれよ。つづらがいなくなったら、俺」
「ボクも同じだよ。……ボクにしたらナツキがいなくなる方が
つづらの
つづらも巴も、無事でよかった。
⛩⛩⛩
――
「『
「うん。すぐに思い出せなくてゴメンね。確か、江戸時代の古い絵巻物に描かれていたのを一度だけ見たことがあるよ」
「あの時、つづら様が『正体は
「俺、女王蟻を
「ユメミサマの力で
「確かに、女王蟻がいなくなれば蟻の集団は
美月さんが言った。
「ユメミサマが、
「あのなあ。俺達三人がもう少し
「まあ一応、二人とつづら様に礼は言っとく。ありがとう」
頭を
「だけど、呪いは
「この家の周囲に
「うん。みーちゃんの言う通り、もう大丈夫だよ。
「えっ、そうなの? 術者マジで死んじゃったの?」
「ナツキ。『人を
「つづら……
俺が
「でも、この
美月さんが無数の蟻の
「ああ。
俺達は蟻の死骸に向かって、しばらくの間手を合わせていた。
「ところで、ユメミサマは大丈夫なのか?」
祭壇の前に、
「ああ、問題ない。
巴が指さしたのは、
「さっきまで
巴が黒い
「お前の家では、蝶を
「そうさ。僕の家では色々な神仏を
「実は俺、巴が俺達を苺大福で太らせてユメミサマへの
「夏輝くんが怖がらせてくるんですよ。あの時はどうしようかと」
「そんなわけないだろう。
「だって、巴が妙に優しかったのが
「は?」
俺と巴の会話に、美月さんとつづらがおかしさをこらえきれない様子で吹き出した。
「それにしても、
美月さんが言った。
「常世神?」
「はい。『
美月さんが伸ばしたその手に、蝶が集まる。
「人々は次々に常世神を
一瞬のうちに神として
「僕の家のユメミサマは、でっち上げられた
そう言えば、巴の家の前には、大きなクスノキが植えられていた。あれは、蝶が卵を産む木だったのだろう。あの木の葉が幼虫の頃の食事だったというわけだ。
「このユメミサマは、父が幼少の頃からもう何十年と
「お前のおじいさんや叔父さんは、長い年月の間に
巴が頷いた。
「『
美月さんの言葉に、ああそうだった、と全てが
とにかくこれで、
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