#2 得体の知れぬ神
「まったく、
「気を悪くしないでくださいね。巴くん、最近は
「巴って確か、中学の時に仲間外れに
「原因は、
「拝み屋……」
「はい。ご近所からもひんぱんに
「子どもが?」
「はい。巴くんの
「あいつ、意外と苦労してるんだ」
「はい。それで性格が
「若干?」
色々突っ込みたい部分はあるが、そのくらいにしておいた。
見ると、座布団の上に古びた黒い
着物のような生地でできたその巾着には、
「何だこれ?」
「ああ、これは巴くんが昔から大切にしているお守り袋ですね。届けなくては」
⛩⛩⛩
帰ってきた
最初から最後まで世話の焼ける奴だ。
巴の家は、月姫神社から歩いて五分の田園地帯にある。
地蔵堂を過ぎると黒い屋根瓦の乗った広々とした立派な日本家屋が見えてきた。
玄関が二つ、左側には
敷地の一角に
「農家?」
「はい。巴くんの叔父さんは農家兼拝み屋でして。お母さんは小学校の先生なんです」
広々とした前庭には庭石が数個と、樹齢何年くらいなのだろうか、見たこともない大きな木が植えられている。
「こんなに立派な木を敷地内に丸々一本植えられるのがすごいな」
「この木はクスノキだよ。ご神木として神社に植えられていることも多いね」
つづらが言った。
木の下には古びた小さな
住居の裏手には畑があり、果樹が数本と、キャベツ等の野菜が植えられている。
隅の方に赤いチューリップが数本植えられているのはご
「巴くんの家に来るなんて久しぶり……」
美月さんが言いかけて黙った。
顔から血の気が引いている彼女の様子に後ろを振り返ってぎょっとする。
――いつからいたのだろう。
家の陰から、黒い何かがじっとこちらを凝視している。
どす黒い皮膚、がりがりにやせ細った体、ぎょろぎょろと大きな黄色の
一言で言うなら、黒い餓鬼。
それも一匹だけではなく、十匹近くいた。
あれらは、卜部家で
見ただけで、
「あの物の怪、古い
つづらが言った。
「有名な奴か」
「メジャーどころだと思うけど、何だったっけな。種類が多いんだよ。
「
少しでも黒餓鬼達の意図を
「あれが
「もしあれを巴の家で
「そうですね」
俺達三人は玄関へと急いだ。
イラスト
https://kakuyomu.jp/users/fullmoonkaguya/news/16817330654220025260
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