#5 デートの結末
⛩⛩⛩
「この間通りかかった時は営業してたのに……ネックレスに続いて、俺ってホントに運が悪い」
あんみつでも食べようと訪れた
甘味処の前のベンチで、がっくりと肩を落とす俺。
「仕方がないですよ。
美月さんがベンチから立ち上がり、セーラー服のスカートを
しばらくして戻ってきた美月さんが、手に持っていた紙包みをくれた。
「お待たせしました。どうぞ。熱いので気をつけてくださいね」
思わず腹の虫が鳴るような、
包みを開けると、
「ありがとう。そう言えば、いつの間にか腹が減ってた」
「ふふ。キーホルダーのお返しです」
サクサクとした
バターの香りを放つ甘いじゃがいもと、牛ひき肉の豊かな風味の絶妙なコラボレーション。
コロッケが胃の中に落ちていくと、不思議と気持ちが落ち着いた。
「夏輝くん、今日は楽しい一日を有難うございました」
「いや。俺も楽しかったです……」
「それはそうと、どうして私にこんなに良くしてくれたんですか? せっかくのお
「それは……」
美月さんに見つめられ、どう答えたものかと困っていると、向かい側から声がした。
「あれ、みんなどうしたんだ? こんな所で」
振り向くと、買い物袋を手に提げた
⛩⛩⛩
巴もベンチに座り、四人で並んだ。
「なるほどね。それで二人とも、あえて
「ああ。いくら話しても、話が平行線でさ」
「あの女性が
美月さんが
「まぁ、それでいいんじゃない。その女は、品物を盗むときのスリルを味わうのをやめられなかったんだろうね。原因はストレスか、世の中に対する不満か何かは分からないけどさ。でもそういう人間は、物の怪じゃなくて自分の心に原因があるから、本人がそれに気づいて改めるまで仕方がないよ」
珍しく巴がもっともらしい事を言う。
美月さんの表情に少し明るさが戻ったのを見て、
「巴もたまにはいい事言うな」
「まあね。それはそうと、夏輝くんたら。どうしてみーちゃんにプレゼントをあげようとしてたのかなぁ?」
にやにやと笑い出す巴に、
「お前と違って、日頃から散々お世話になってるからだよ」
「僕の分はないのー?」
「あるわけないだろ」
「みーちゃん。こいつ下心があるから気をつけるんだよ。体育の時間、
「え、そうだったんですか? 夏輝くん」
胸の前に手を
「違うわっ! このホラ
空の向こうは夜になり始めていて、輝く星々の間には、あのムーンストーンのような月が静かに輝いていた。
■第4章、完結です。最後までお読みいただきありがとうございました!
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