#2 月のネックレス
⛩⛩⛩
──何だろう、このもやもやした気持ちは。
周囲を
普段の
美月さんの良さを他の誰かも知っているという嬉しさと、自分だけが知っているはずの彼女の
「みーちゃん、意外と人気あるんだねぇ。後でからかってやろ。あれ、
「何でもない」
「なんだよ、変な顔して。まぁ顔が変なのはいつもの事か。あはは……ぐあっ!」
俺は後ろから巴の肩に両腕を回し、全体重をかけてやった。
⛩⛩⛩
学校が終わり、俺と美月さんは
「今日はおばあちゃんが
風になびく髪を押さえながら、つづらを抱いて微笑む美月さんを、俺は意を決して誘う。
「もし良かったら、ちょっと寄りたい所があるんだけど。一緒にどうかな」
少し驚いた風に、こちらを見る美月さん。
「いいですけど、それなら巴くんをもう一度呼んできましょうか?」
「いや。
「ですが、私達だけで遊びにいったら巴くんが
「いや。今から行く場所は、巴はあまり
「そうなんですか」
美月さんが巴のことをひどく気にしているが、俺と出かけるのがもしかすると嫌なのだろうか。
あるいは、俺なんかよりも巴と一緒に出掛けたいとか?
俺は
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アンティーク
店内は若い女性でひしめいていた。
「わぁ……あれもこれも
「うん。この間みんなで桜町神社に行った帰りに、このお店の前を通りかかったでしょ。それでちょっと調べてたんだ」
「私は全然気づきませんでした。マメなんですね」
「いや。俺も
『
今日は店の近くで道路工事をしていたため道順が分かりづらかったが、たどり着けたので良しとしよう。
今日は美月さんにこの店で何かプレゼントをして、ついでに近くの
それはあくまで、普段からお世話になっていることへのお礼の意味であって、決してクラスメート達を出し抜こうとしているわけではないと、自分に言い聞かせながら。
まるで空に浮かぶ
『ムーンストーン』と書かれている。
──月の石。
他の
「これ、美月さんに似合うんじゃないかな?」
「すごく
美月さんの表情がふっと
よし決めた。俺は美月さんに月をプレゼントしよう。
「もし良かったら、俺がお金を出そうか? 美月さんにはいつもお世話になっているし」
重いと思われないよう、俺はできる限り言葉を選んで言った。
「え?」
俺の申し出に、目を丸くする美月さん。
まさか、引かれてしまったのか?
「い、いや、その! 俺が
「ナツキ。いまさら何の説明かい?
つづらが
「いいんですか? 有難うございます」
美月さんは驚いた様子だったが、やがて
そのまま、俺の制服の腕にそっと細い指を
なぜか大胆な美月さんに、俺の心臓が
──ああ、何という
呼吸さえ止まってしまいそうだ。
俺にぴったりとくっついた美月さんが声のトーンを落とし、向こう側を小さく指でさした。
「夏輝くん。あちらを」
美月さんの視線の先には、
ワンピースは物凄く
女がイヤリングをあれこれと手にとっては、
──
俺の心臓が、どきりと鳴った。
まさか、犯罪の現場を直接見てしまうとは。
美月さんが俺の側に身を寄せたのは、俺に好意がある
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