#8 花の宴
桜色に染まる小桜山の
この山の神と、
その中に
裕司さんの一連の動作は基本的に
裕司さんに促され、俺と美月さん、卜部の三人は
桜に桃、青いワスレナグサ、
――この小桜山が、いつまでも人から愛される美しい桜の山でありますように。
少しでも長く、この山の桜に咲いていてほしい。
「それでは只今より、
裕司さんが述べると、桜の
裕司さんが取り出したのは、
正直どうやって音を出すのか分からない。細長い竹が組み合わされて出来ている笙を、裕司さんが両手で包み込むように持ち、息を吹き込む。
まるで雲間から光が射し込むかのような、心洗われる
美月さんが持つのは扇でも神楽鈴でもなく、ただ一振りの満開の桜の枝。
草木が
――千年以上前。この小桜山で、少年の姿の桜の精と、
それは
花吹雪の中で、俺は時が止まるような感覚に浸っていた。
頭の中で描かれる
⛩⛩⛩
「神事の後は、
裕司さんが社の前にブルーシートを広げ、上から
「なおらい?」
「おまつりの後に、神様にお供えしたお神酒や供物をいただくんです。とはいえ、私達は未成年ですからお茶とジュースで
美月さんが
「
──ああ、何という
重箱にはいなり寿司、
いなり寿司の
裕司さんが弁当を眺めて、うっとりとため息をついた。
「これはすごい。いつも有難うございます」
花見弁当のあまりの
つづらが神前の台に供えられていたお
「巴。紙皿と
声をかける時に、つい呼び捨てにしてしまった。
「この僕を呼び捨てにするとは、ずいぶん馴れ馴れしいな」
巴はそう言ったが、その
「ああ、幸せです。つぶあんの絶妙な固さが、おはぎの風味を最大限に引き立たせていて!」
「みーちゃんって、相変わらずあんこ大好きなんだね。小さい頃から変わっていないな」
巴が美月さんに目をやると、美月さんが「恥ずかしいです」と顔を赤らめて
「そうか。二人は
「小さい頃は兄や近所の子達とみんなで、よく一緒に遊んでいたんですよ。その頃の巴くんは今とはちょっと違っていまして」
「ここで色々と
巴が釘を刺し、一同が笑った。
「では、皆様のご健康を
裕司さんの
ひとしきり話し、笑い合う。
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