#4 いざ、小桜山神社へ
バイバーイと手を振り帰っていく小学生たちに手を振り終えた後、美月さんが言った。
「そういえば、明日の土曜日は
「行けるわけないでしょ。僕は忙しいんだよ」
卜部が
「すみません。つい余計なことを」
「もう時間がないから。じゃあ」
申し訳なさそうに謝る美月さんをよそに卜部の姿が消え、後には一枚の紙で作った
──
「そういえば巴くんは、式神を使っているので歩かなくても家に帰れるはずなんですよね」
「ああ。変な所で
「生真面目だけど、あの子はかなりの
リュックの中から首を出したつづらがふうとため息をついた。
⛩⛩⛩
五時に起きた俺はワイシャツにネクタイを締めると、月姫神社の
と言っても、
思わずあくびが出てしまう俺に、釘をさすつづら。
「ナツキ、神事の最中にあくびしたらダメだからね」
「分かってるよ。早起きには慣れてきたつもりだけど、五時起床、六時出発はちょっと
「おはようございます」
「おはようございます。今日は
「ええ。小桜山神社は別の宮司さんが管理しているのですが、巫女がいないので時々お手伝いを頼まれるんです。私、わりと色々なお宮へご
「気をつけて行っておいで」
「あちら様によろしく伝えてね」
千鶴子さんが弁当を持たせてくれた。
「こやつら、
「今日は白魂が荷物を途中まで運んでくれるらしいですよ」と言うと、宿禰さんが悔しそうに黙った。
これは俺の入れ知恵で、
ずしりと重いトランクを受け取ると、白魂達がミーと鳴いて
弁当とトランクを持って歩いて行く俺を、美月さんが少し気にした様子で頭を下げた。
「ありがとうございます。重たくてすみません」
「いえいえ」
タクシーのトランクルームに荷物を入れた時、背後から声がした。
「行くのはやめた方がいい」
鳥居の陰から、卜部巴が
紫色のレトロな雰囲気のニットに深緑色のボトムを合わせていて、それが不思議とよく似合っていた。
「
「卜部、来てくれたんだな」
「ふん。今日は無知な
そう言いながら、卜部がそっぽを向いた。
「祭りが終わったら花見しようぜ。人数多いから楽しくなるな」
「行かないって言ってるだろう」
よく見ると、卜部の
よく見ると山歩きに適した丈夫そうな
おいおい、花見する気満々かよ。
「ご心配は
美月さんが困ったように言った。
俺はタクシーの後部座席のドアを支えて美月さんに乗るように促し、そのまま自分も助手席に乗る。
「ああもう、世話が焼ける」
大きな声でそう言いながら、卜部が後部座席に乗り込んだ。
「あれ。行かないんじゃなかったのか?」
「君達だけじゃ危なっかしいから僕も行くよ」
タクシーが走り出したのを見て、小さな声で肩の上のつづらに言った。
「俺、ここまでの
「昔は素直な子だったんだけどね」
つづらがふうとため息をついた。一体何をどうしたらこういう性格になるのだろうか。
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