人間殺処分

序章

Prologue

　この世に存在する表と裏の世界。ごく普通に流れる表の世界とは対照的に裏の世界は日々暗躍する。それは殺し屋、薬の密売、人身売買……。数え上げればキリがないがその中に恨みを代わりに晴らしてくれる代行屋も存在する。

　しかしそのどれにも属さない裏の話が一つ。ある日を境に噂になったものの、ネットが普及した現代社会であるにもかかわらずサイトの一つもないという。

　殺し屋を名乗る訳でも、恨みの代行屋を名乗る訳でもない。その噂は瞬く間に広がり、その話題を口にする者の間では「処分屋」と呼ばれるようになった。

　不意に何処からともなく現れ、対価と引き換えに確実にターゲットを消す。その不気味さがまた、噂を加速させていた。

　ほら、今の貴方の後ろにも───────────。

　貴方の周りに、消してほしい人間はいませんか？