エピローグは簡単に

僕は目が覚めた。


テストは77点だった。

帰り道の、河川敷で考え事をして、憧れのミキちゃんに会って、家に帰った。


ゲームは「没収だよ」と言われた。でもなぜだろう。あまり悲しくない。


「話、ちゃんと聞いてるの!?」ママに言われて、顔を上げた。

なんだろうこのセリフ。いつもより心に響くな。


僕は、ゲームの設定を考える人になろうかなと思った。

そうだ。やり直しができないゲームなんてどうだろう。HPもMPも戻らない。セーブができないゲーム。


どうして急にこんなこと考えているのかわからないけど、勉強もしっかりしないといけない気がした。


戻れないから、今が大切だって思う。

そして、大切な人には大切だって言わないといけない気がした。


朝学校に行くと、靴箱の前に憧れのサキちゃんがいた。


なぜだろう。話したことなんてほぼないのに、目が合ってなぜか懐かしい感じがした。


「黒崎くん、おはよう」


僕はなぜ、憧れの人の目をそらさずに、しっかり見れているんだろう。謎。


サキちゃんが目を逸らさないので、僕の口が開いた。


「ねえ、知ってる?7月8日の誕生花ってさ、カンパニュラなんだよ。花言葉は感謝」


僕は朝からなんでこんなうんちくを語ってるんだろ。嫌われそう。


彼女の目の中に、僕がいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ありがちループ!? だら子 @darako

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ