3.制裁敢行
1
〈これより反CASTLE特定危険思想集団・再生可能エネルギー振興委員会への武力制裁行為を行う。CES所属の傭兵は、
当該集団は、アルテリア地区の土砂災害をはじめとした複数の事件・事故へ関与している。これ以上の活動を容認した場合、レイヤードネストの存続に関わる問題へと発展する。
危険の芽を摘み取っておくことは、この複合都市への何よりの奉仕となる。所属傭兵の諸君には、持てるすべての力を以て奮戦してもらいたい。
CASTLEの意向としては、働きぶりによっては、最高額の賞金を懸けるとのことだ。
この任務に失敗は許されない。奴らによって愛する者を奪われた、全ての市民の怒りを代弁し、任務を遂行してもらいたい。
良い結果を期待している〉
コクピットの膝元にあるサブ・ディスプレイから長い
タッチ式コンソールを操作し、機体構成パーツの一覧を表示。新調した腕部パーツAA-68VBの文字が輝く。両手に射撃兵装を装備することを考慮し、
続いて兵装の確認。右腕には25ミリ
背面兵装バインダーには、左腕用の予備兵装として、小型の20ミリ
高火力での制圧に主眼を置いたアセンブルとしては、いわば最大公約数的な選択と言えた。しかし脚部の最大積載量に近いため、今までより動きが鈍くなることも事実だった。これ以降は、より積載量の多い脚部パーツを検討するとしよう。
〈よう、アルテリアの英雄さん〉
右前方をトレーラーで移動する、緑色の四脚ウォーカーブレードから通信が入る。彼は〈マティス〉という通り名で、俺と同じくCESに雇用された傭兵だ。
彼の愛機は二次元機動性を重視した中量級四脚で、携行機関砲と遠心力で爆雷をばら撒く特殊兵器を装備している。
〈今日はよろしくな。俺たちは突入班だ。現地でもう一人、
「ああ、こちらこそよろしく。頼りにしてるぞ」
〈それはこっちのセリフだ。新調した装備でガンガン斬り込んで行ってくれよ〉
二台のトラックが、CES情報軍によって制圧されたハルバード地区の境界検問所を通過する。
〈キャリアロック解除。いけるわ〉
エディの指示通りに、機体を直立させて地面に降りる。荒野が広がるハルバード地区に入り、十数分後。突入班の集合ポイントへ、マティスと共に到着した。
「了解。
〈同じく突入班のマティスだ。あと一人、役者が足りんような気がするが?〉
〈こちらコマンドポスト。〈ランスグロウラー〉の到着に遅れが生じている。作戦決行時刻になったら、二人だけでも突入しろ〉
〈マジですかい?奴らの本拠地は、半分以上が地下の閉鎖空間ですぜ。あいつが居ないと、
「仕方ない。俺たちだけでも行くしかない。残る一人の到着予定時刻は」
〈開始時刻の5分後だ......いや、しばし待て〉
〈どうした〉
〈本人から緊急通達だ。ヘリでの輸送に切り替える、とのこと。開始時刻丁度に到着予定〉
〈そいつぁいいや。輸送費は馬鹿にならないだろうけどな〉
「まったくだ」
ウォーカーブレードの空輸手段は限られており、専門業者の利用料金も相当高額になる。CESの雇用対象者といえど、簡単に決断できたものではない。
双発の大型輸送ヘリが、俺たちの上でホバリング状態に移行する。その開放型のキャビンには、灰色の軽量型機体・ランスグロウラーが吊るされていた。
〈こちらランサー・フォール。目標地点に到達〉
ランスグロウラーの背部ロックが解放され、機体が投下される。それは左腕に大型の
〈遅いぜ、ミスター!〉
〈すまない。コマンドポスト、これより作戦を開始する〉
〈了解。振興委員会への制裁作戦を開始せよ〉
CES
管理執行局 立花零 @ray_seraph
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