短編公募用・下書き

飯星咲也

下書き中

タイトル:〆切と云うもの

ペンネーム:飯星咲也



 高名な作家に成れば成るほどアイデアの捻出に難儀爲(す)る。因果なものだ。

 私、飯月(いいづき)星十郞(せいじゅうろう)は邸宅に構えた書齋の中で悄然と頭を抱えて居た。豪華な書齋は泥棒が入ったかの樣に荒れ果てて居たが、惱みの種はS出版社から依賴された短篇小說に有った。

 以前に數度(すうど)――若しかしたら十を超えて居たかも知れない――依賴を斷(ことわ)って來た出版社から「今囘(こんかい)こそは飯月先生の玉稿を」と懇願され、思わず了承してしまったのは四月前のことだ。我乍(なが)らお人好しな此の性分の所為で〆切に遑(いとま)が無く、氣付けばS出版社の依賴期限は前日に迫って居た。つい先程まで他社の原稿に追われて居た私には、短篇のアイデアを練る時閒もそんな考えすらも無かった。

 アイデア帳の中から適當(てきとう)なものを選び出して煙に卷いてしまおう。一度は沒(ぼつ)にした案だから小物しか殘って居らぬだろうが、何、會話(かいわ)で水增(みずま)し爲れば三十枚の原稿など直ぐに埋まる。半端な作家が同じことを爲れば內容の無い駄作に成るのは避けられ無いが、私の文章力を以て爲ればさり氣無い遣り取りも忽ちウイットに富んだ知的な會話と成るのだ。

 重厚なマホガニーデスクの引き出しを開け、アイデア帳を手に取ったところで電話が掛かって來た。固定電話のコードは疾うに引き拔(ぬ)いて有る。仕事で使う携帶電話二臺(だい)とプライベート用の一臺も電源を落として居る。鳴って居るのは殘りの一臺、內密に連絡を取る爲(ため)の携帶電話だった。

 着物の懷から電話を取り出す。登錄名では無く、携帶番號が表示されて居る。どうやら先日ものにした銀座のホステスの樣だ。少し勝氣な女で其處(そこ)が魅力なのだが、こうも圖々(ずうずう)しくては先が思い遣られる。

 長々と續(つづ)く着信に溜息を付き、澁々(しぶしぶ)通話に出た。電源を落としても良いが、拗ねた女程面倒なものは無い。此處(ここ)でがつんと云って置くが得策だろう。

「麗奈(れいな)か? 前に云って置いただろう、私は……」

『飯月先生のお電話ですね? S出版社の小比類卷(こひるいまき)です。お世話に成っております』

 聞こえて來たのは艷やかな麗奈の聲(こえ)では無く、悍ましくも嗄れた男の猫撫聲だった。反射的に思い浮かんだ痘痕(あばた)面に暗澹(あんたん)と爲る。

『不躾な電話で申し譯(わけ)有りません。いやあ、でも良かった。連絡取れなくて心配してたんですよ』

 如何樣に此の番號を掴んだのか氣に成るところだが、今は其れどころでは無い。

 私より幾らか年嵩、四十前の小比類卷は出版界でも有名な敏腕編輯(へんしゅう)者等と持ち上げられて居るが、私からしてみれば凡庸な編輯者の一人に過ぎぬ。如何して編輯者と云う者はこうも原稿を急かし、作家の執筆意欲を奪うのか。其れが仕事だと思って居るなら、勘違いも甚だしい。

「判って居る。〆切は明日だろう。今書いて居るところだ」

『本當(ほんとう)ですか? だって二十分前までTさんとこのエッセイ書いてらしたんでしょう。昨日まではKさんとこの長篇小說。いやあ、弊社でも是非長篇を書き下ろして頂きたいですねぇ』

 何故知って居るんだ。そんなことを調べて居る暇が有ったら、ネタに成りそうな資料の一つでも探して來れば良いものを。

「くどいぞ、コヒ。今は短篇だろう。ちゃんと閒に合わせる」

 通話を切ろうと爲ると、聲が上がった。

『アッ、明日の朝、十靨(つじえくぼ)とお伺いしますから……っ』

「來なくて結構。ツジキチにも言って置いて吳れ」

 編輯長まで出張って來るとは、S出版社は愈々(いよいよ)無能揃いらしい。今後の依賴は斷(ことわ)ると心に決めつつ、携帶電話の電源を落とした。麗奈や志保里や泰子や美沙や紀子が連絡を寄越すかも知れぬが、背に腹は代えられ無い。

 改めてアイデア帳を捲ろうと爲ると、今度はドアがノックされた。短く聲を掛けると、妻・祥子(しょうこ)のおどおどとした聲。

「彼(あ)の……其(そ)の……」

 埒が明かぬ。仕方無く入室を許可爲ると、盆を持った祥子が靜々と机に步み寄って來た。

「お邪魔かとも思ったんですけど、少しはお休みに成らないとお體(からだ)を壞してしまいますわ」

 盆の上には握り飯と厚燒き玉子に野菜スティック、急須と湯飮みが載って居る。

 祥子とは結婚して五年に爲(な)る。美しく從順(じゅうじゅん)な女なのだが、二十五と云う若さとお孃樣育ちの世閒知らず故に、何時まで經(た)っても作家の妻としての心構えが身に付か無い。今もパソコンや資料が載って居る机の上に盆を置き、茶を淹れ出した。

「どうぞ、あなた」

 差し出された湯飮みを鷲掴みにし床へ投げ付ける。

「何度言ったら判るんだ! 書齋に飮食物を持ち込むな! さっさと下げろ!」

 パソコンだけで幾ら爲ると思って居るんだ。高性能な執筆ソフトや辭書(じしょ)ソフトも各種詰めて有る。何よりこの中に入って居る執筆データが茶でも掛かって萬一消失しようものなら、金錢的損失どころでは無い。人類全體(ぜんたい)の英知の喪失だ。

「でもあなた、ずっと何も召し上がってらっしゃら無いから……」

「食うと眠く成るだろうが! 此れだから女は駄目なんだ。お前みたいな能無し、面倒看て遣るのは俺ぐらいのものだぞ!」

 此處で少々作者から云うことが有る。飯月の傲慢な態度は全く作家として相應(ふさわ)しく無い。此の男は作者自身がモデルでは有るが、無論小生は幾ら〆切が迫ろうと我が細君に此の樣な橫柄な態度は取らぬ。

 暴言も以ての外だ。言葉を操る職業に殉じて居る自負が有れば、どれ程感情が高ぶった時で有れ、喋る言葉も亂(みだ)れることは無い。小生等、口汚く罵るどころか聲を荒げた經驗(けいけん)さえ生まrて此の方一度たりとて無いと胸を張って宣言出來る。

 扠(さて)、讀者(どくしゃ)諸君に於いては突然の作者本人の登場に驚かれる向きも有るかも知れ無い。一應(いちおう)補足して置く。此の手法は確立された文學的作品の技巧で有り、決して自己顯示欲や承認欲求を滿たす爲では無い。

 では本文に戾ろう。

 祥子は眞っ白な顏で唇を微かに戰慄かせると、着物の裾が亂れるのも構わず床にしゃがみ込み、割れた湯飮みを片付け始めた。

「濟(す)みません、濟みません。お願いですから、別れるだなんて云わないで」

「そんなものは後にしろ! さっさと出て行け!」

 私の聲に被さる樣に子供の泣き聲がした。今年三歲に爲る一人娘の佳乃(よしの)だ。如何して子供と云うものは無闇矢鱈に泣き喚くのだろうか。笑って居ればまだ可愛げも有るものを。

 飯月は小生と違って子供染みた男だ。子は寶(たから)だ、。小生は積極的に育兒(いくじ)を手傳(てつだ)って居る。

「五月蠅い! 如何して橫の部屋で寢かせるんだ! 早く默らせろ!」

 怒鳴り付けると、祥子は「御免なさい。長く目を離すと心配だから……」等と言譯(いいわけ)をしながらそそくさと書齋を出て行った。

 暫くして子供の泣き聲が遠のいて行く。娘を抱いて階段を下りて居るのだろう。まったく、何の爲に百五十坪の邸宅を建てたと思って居るんだ。

「くそ、俺の周りは馬鹿ばっかりか」

 漸く靜かに爲った書齋で頭を掻き毟りながら、散り散りにされてしまった集中を取り戾そうと試みる。何奴も此奴も邪魔しやがって。特に嫁。本の一冊も読まない無教養で愚鈍な阿呆どもには執筆活動の崇高さが判rないのだ。

 荒い息で深呼吸しながらアイデア帳を捲って行く。どの頁(ページ)もびっしりと書き込みがして有る。アイデアは有る。アイデアは有るんだ。然し時閒が無い。殘って居るのは複雜な構成の物語の草案だとか、取材が必要な專門的なものばかりだ。

 短篇に使える樣な細々としたネタは旣(すで)に使ってしまったらしく、どれもバツ印が付けられて居た。同じネタを違うアレンジにして書いても良いが、其の場合以前書いた短篇を確認しなければ被ってしまい兼ね無い。何時書いたか、どこに書いたか、そんなもの覺(おぼ)えて居る譯(わけ)有るか。今まで何本書いてkたと思ってンだ。いちいch振り返ってたらとっくに心が折れちまってる。

 時間さえあれば。時間さえあればお私には書き切る力が有るんだ。世の中がアッと驚く名作を書いて遣れる。

 作者としては、如何してアイデアが有って書けぬのかとんと理解出來ぬ。が、交流の有る他(た)の作家は――どれ程高名な作家であれ――皆斯樣(かよう)に零すので、作者が奇特なのだろう。

 睨んで居たアイデア帳を放り出し、椅子から立ち上がった。廣(ひろ)い書齋の壁三方を覆う本棚から手當(あ)たり次第に分厚い圖鑑(ずかん)や資料集を取り出し、机上に積んで行く。元から有るアイデアをアレンジ爲るより、新しいアイデアを出すほうが早い。短篇程度の簡單(かんたん)なアイデア等、資料でも眺めて居れば直ぐに出て來る。

 革張のプレジデントチェアに座り直し、氣合を入れて一册手に取った。江戶時代の風俗資料本だ。一頁二頁と捲る內、ピンと來るモチーフを見つける。江戶の民閒消防組織・町火消が各組の目印として使う纏(まとい)と幟(のぼり)。火消の活動をテーマにした小說は多いが、此方のアイテムのほうに焦點(しょうてん)を當てれば、一風變(か)わった面白い作品に成りそうだ。

 ほら、アイデアなんて直ぐに出るのだ。まだどんな話に爲るか決めて居無いが、冒頭でモチーフに就いて說明爲る閒に固まって行くだろう。蘊蓄(うんちく)を細かく、登場人物の會話も織り交ぜて書けば、其れだけで頁の半分は埋められる。主人公は梲(うだつ)の上がら無い中年浪人にしよう。傘張で糊口を凌いでいたその男が、己が住む町內の火消組の纏を我こそ作らんと奔走する。正式に纏制作の任を受けた鼻持ちならない有名傘職人の若造(実は賄賂取引してた悪党)と、幟の制作を任された呉服所の一人娘(可愛い。巨乳。純粋で世間知らず。でも頑張り屋で華奢なのに胸がデカい)を巡って恋と仕事の鞘当てを繰り広げ、ラストは当然浪人が勝利! 仕事mp女もゲットだぜ!!っぱこうじゃねえとな!1若い娘は俺ぐらいの大人の男にめっぽー弱いもんなのよ!【テンション上がっちまった。要推敲】

 ……よし、展開も決まった。神(かみ)から啓示でも受けたかの樣だ。此れで書き出せる。

 飯月は神だと思って居るが、作者が知惠を貸して遣ったので有る。小生はスランプ等とは無緣なので有る。

 愛用の執筆ソフトを立ち上げ、意氣揚々書き始める。然し直ぐにキーボードを强打爲る羽目と爲った。

「此の話じゃ校正機能が役に立たないじゃないか!」

 こんなにうらまやs高価で便利な道具が揃っていて書けないのは才能がないからだ。と作者は思う。潔く辞めちまったほうがいい。作者など中古のノーパソでカクヨムの下書き機能使って書いてるっつーのに、いや、書いていた。デビュー前の話だ、当然。今は売れたからいくらでも経費で道具を揃えられる。が、自分の力だけで書くのがプロの作家だと矜持を持って頑張っている。中古ノーパソ・カクヨムの下書きで。資料もわざわzq図書館でその都度借りてる。面倒くせえったらない。ほんとなら俺だってwa-doとかいchたろとか使いたい。と作者は思うのである。【本当のこと書いてどうする。要書き直し】

 時代物等の特殊な言葉遣いの話は執筆に時閒が掛かる。潔く諦めて、机に積んで有る資料から現代日本のものだけを抜きd

 ありえねえ!マジあrえねえんだけど!!?!?!?

 今クソ嫁に麦茶掛けられた頭から!ストーブもねえのに!!!!今何月だとおもってんだ!!!12月だぞ!?!??こたつに入りながら震える指でキーボード打ってたってのに!!!1

 腹立つからぜってえ風呂なんか入ってやらねえ!俺が風引いてこじらせておっチンだら化けて出てやるからな!

 記録代わりにとりあえずどうしてこうなったか書いとく。後でこの下書き別にコピーして離婚するときの祥子にしてやr!



【↓ここから記録用】

 この小説書いてたら、嫁(38歳。俺より3つも歳食ったアラフォー鬼クソババア)が仕事から帰ってきた。

クソ嫁「まだ書いてんの? ご飯は?」

俺「食ってない」

「……お風呂ぐらいは入れてくrたよね?」

「入りたいなら自分で入れろ」

 嫁、こkでこれ見よがしなため息。

「アンタずっと着替えもしてないでしょ。一体何日お風呂入ってないの」

「そんな暇ねえよ。締め切り前だ」

「期限は前から判ってたでしょうに。なんで毎回ギリg利になるの。家にいるならせめて家事のひとつくらいしてよ」

 カッチーンときたね。で、行ってやった。

「うるせえ! 突っ立って手を動かしてたら務まるスーパーのレジ打ちとは違うんだ! こちとら時間があったらできるってもんじゃねえんだよ!」

 俺だって好きで無職してるわけじゃねえ。前の会社が倒産してとりあえz派遣社員になってそれも首切られて。面接受けても落ちまくる。悪いのは俺じゃない全部政治が悪いんだ。こうなったら本気で作家になるしかないって頑張ってんのに、理解のない無教養でミーハーで馬鹿でアホな女はこれだから。

「また近所めいわk」

「gdgダ言ってねえで茶ぁ持ってこい!1」

 普段は温厚な俺だけど、今回ばかりはビシーxtといってやった。判らない奴には期前と言って聞かせることも相手のために必要だからな。

 嫁はいかにも渋々台所に入っていった。言われなきゃ動かないなんてまったく気g利かない女だ。飯月の細君の爪の垢でも煎じて飲ませて槍たい。

 嫁が持ってきたのは夏の残りの缶入り麦茶だった。台所の隅で埃被ってたやつ。

「ああ? 冷てえだろ、それ。このクソ寒いってのに」

 文句を言いながらも俺は優しいので受け取ってやろうとした。その途端だぶっかけrれちまったのは……!1!

 一家の大黒柱様に茶ぁぶちまけるかフツー? いや俺は今働いてないけど、それは仮の姿であって将来はベストセラー作家様だぞ、スーパーの正社員ごときが一生働いても得られない金をたった一冊の印税で稼いじまうポオテンシャrウを秘めてるんだそんあ俺をよくも無毛にしやがって!!Q

 あーこうやって書いててもマジdwムカつく。なんだあの鬼ババア。細いだけが取り柄だったのに、今じゃブクブク太りやがって詐欺もいいとこだ。俺にぶっかけたあとは不貞腐れて奥の部屋で寝てるけど、いびきがここまで聞こえてきあがる。フガッとか言って、マジで豚かよ。いあ、豚さんのほうがまだ可愛げあるわな。

 くそおおおお飯月の嫁はいいなああああs。とっかえてくんねえかなああああ、女らしくて控えめで海外市区夫を立てて、マジで理想の嫁だよ。名前は小学生の頃の初恋の子からとったけど、まあ実際はこんな良妻賢母いるわけねえってのは判ってる。理想を詰め込みすぎて全然リアリテないし。こんなのキャラ設定C判定がオチだ。

 あー、どうしてこうなっちまったんだろうな。子供の頃は大人になったら作家になって結婚して可愛い子供が生まれて、飯月のような何不自由ない幸福な家庭を気付くもんだと思ってた。それが何? 35にもなって2Kのボロアパートで寒さに震えながら中古ノーパソで受かろもしない小説書いてうっていう。しかも無職。しかも鬼クソ嫁。リアル厳しすぎ笑えない。

 まあクソ嫁との間に子供ができなかったのがせめてもの救いか。昔は子供が欲しかったけお、あの鬼ババアとの子なんて考えるだけでぞっとする。どうせ鬼嫁そっくりのブスで憎たらしいクソガキが生まれるだけ出汁、あばたも靨なんて うあ!前の変換残ってた! なんだよ十靨って!どんな苗字だよ!?やたらと難しい感じ使いたがって、この飯月とかゆーヤツ馬鹿じゃねえか?……って馬鹿なのは書いてる俺なんだけどね!はいはい判ってる判ってう! 売れっ子作家の文章が書けたらとっくにデビョーしてるぅつーの!!

 あーーーー、駄目だなこりゃ。没だ没。絶対落ちる。そうdq、さっき本文書いてて思いついた江戸の町火消の纏と幟のネタ、我ながら天才すぎるからあれ書こうかな。って間に合うのかよ無理じゃね? 江戸時代の言葉遣いなんか判んねえよ。

 でもこっちの話も無謀だしなー。締め切り近いからって自分のペンネームもじった名前の主人公にして、筒井康隆の短編ネタぱkって締め切りに追われる売れっ子作家気分味あってみようと舌けど、全然うまく行かない。作中に作者出すやつも大作家がやるから寝たになるんであって、十パひとからげ……なんで変換できねえんだよポンコツノーパソめ、、ジュッパヒトカラゲ(なんかモンスター名みたい)のワナビがやっても痛々しいだけつーか、最初は気分良かったけどだんだん虚しくなってきて俺のメンタルはもうボロボロよ。

 そもs@もこの話、時代はいつあんだよ。今時35の男が和服を部屋着にしてるって時代錯誤感半端ねえよ。スマホを出せばある程度時代説明できるけど、あの古めかしい文体で『スマートフォン』とか出てきたらミスマッチョすぎるし。『パソkpン』とか『キーボ0ド』だけでもアンバランスなのに。

 この辺が堅い文体で現代もの書くときの悩みどころなんdよなあ。圧倒的にハイテク機器との相性が悪すぎる!! なんなら商業小説のミステリとかホラー読んでても、活字になった『スマートフフォン』って単語が出てkただけで妙に興醒めしちまうからな。なんなんだろうな、あれ。今時の若い奴なら違和感ねえのかね。

 ま、どのみちこの話の敗因は、説明避けるためにステレオタイプな大物作家像書いちまった俺が悪いんですよそうですお、作家が担当編集者とどんな話するかなんて知るわけねえだろーが、こちとら何年ワナビやってるとおもってんだちくしょー専門2年のときからだから……15年とかまじか、じぶんで言ってて引いちまったは。

 偏見があるせいで、やたら主人公が編集者を顎で使う高慢な人間になっちmたしなー。もちんろ俺が作家になったら、編集者やファンから愛される謙虚で思慮深い作家になるに決まってるkwどね。てかぶっちゃけ編集者なんて高学歴・コミュ強の勝ち組も勝ち組じゃん、デビュしたとしてもビビっちまって言いたいことも言えないこんあよんあkは~~~ハァ、もぅマヂ無理。カラオケ逝こ。。

 イイジャン、小説なンか書かなくたって。どーせ受かんないよ、また落ちるよ。才能ねーもん俺。何年やってると思ってんだばか15年だぞもういい加減ごーるしてもいいだろよくやったよおれはもうらくになれ、

 ……らくになれっていってんのになあああ~~~~(クソデカためいき

 ああ、なんか走馬灯のように昔のことを思い出す……。これテスト前に部屋の掃除とか漫画読み始mrちゃうのと同じやつだ。

 中学生の頃は将来小説家になるんだxて信じきってたなあ。卒業文集の将来の夢も「直木賞とる!」だったし。凝りに凝った中二病ペンネーム考えて無駄にサインの練習したり(ワナビあるある)、ノートにシコspコ小説もどき書いては自作のへったくそな挿絵までつけてみちゃったりなんかして(ワナビあrある)、自分が作家になることを疑ってなかった。根拠は国語だけは勉強しなくても成績よかったxtつー、これまた作家志望の九十割が勘違いする自信のみだったけど。

 動機も負け組非モテ陰キャクソ雑魚ナメクジの俺にふさあしく、小説を読んでる間はどんな美形にも金持ちにも転載にも王子にも魔法使いnも戦士にもなれることが楽しくて仕方なかったからだ。リアルの世界ではいじめられっ子のひょろガリモヤシで親は離婚寸前。学校でも家でも居場所なんてなかったけど、本の中には友達も優しい両親も可愛いガールフレンドもなんでも揃ってた。

 それでも読んでて『もっとこうだったらいいのに」って不満はあって、自分で書けば理想通りn展開にできると思ってたのに、全然楽しくねえじゃねえか。思った通りに書けたためしなんかなくて、ネタは出ても筆力と構成力とキャラ造形力と会話文のセンスt語彙力が足りない。ぶっcysけこの話の主人公の一人称も旧字体に変換してくれるパソコンだから書けるんであって(書けてねえけど)、手書きなら絶対書けねえし。

 あんまり思い通りに書けないもんだから、自分好みのヒロインとの性癖全部森ラッキースケベ書いてても、俺自身は唸りながらめちゃくcy険しい顔しててつらみしかない。あとあれな! ベッドシーン書いてるとき、二人の体勢とか男の手の位置確認するために、お揉むろに畳に寝転んで一人でポーズとってみたり。これやらねえと人体構造的にありえねえアクロバテョックな体位になってたり、腕が三本になってたりするんだよな。初めてポーズとったときは童貞だったから、我に返って死にたくなったは。ニヤニヤしながら書いてるやつは肝すぎだけど、苦悶の表情浮かべたりいきなり真顔でパンtマイムしながらエロ書いてんの、もはやホラーだろ。

 そうやって理性と膨大な時間と手間を犠牲にしえやっと完成させても、粗や店舗の悪さ矛盾がないかが木になって、無意識で分析しながら読んじまうから全然楽しんで読めないし。新人賞に出したとろこであっさり落選するし・・・書いてて鬱になってきた話買えよ

 そういやこないだ締め切りギリギリのギリでウェブ応募したとき、作品タイトルとペンネームを逆に記入しちまxtて、『万年就職浪人の逆襲~次は御社だ~』なんて、ペンネームでテロ予告してるアブナイやつになちまったなあ。受付完了の確認メールで気付いて、夜中に発狂しちまった。あれは結局一次落ちしたからよかったけど次は……いやいあ、一次落ちで安心しててどうすんだ。最近選考通過できないのも、あの一件で要注意人物扱いされてる殻じゃねえのか? そうならないためにも早く原稿を完成させてうssssっさああ!?!?もう0自前じゃん!!!



 あー----もう無理、諦めた。もう眠いし、時にはあきらめも感じんよ。公募に出せなかったところでしにゃしねえし。

 とりあえずこれは下書き保存しとこ。クソ嫁の悪行記録も書いてあるし。こいつも間違ってカクヨムに投稿しないようにしねえとな。一回オレやらかしちまってるかんな。うっかり公開のボタン押しちまって下書き途中のやつ投稿しちまった。あんときはすぐ気付いて非公開に戻したからことなきを得たけど。

 他の下書き保存してる落選分の小説たちの供養もどうすrかなあ。落選したらそのままカクヨムに投稿できると思ってカクヨムの下書き機能使ってるけど、没った駄作人目に皿す勇気なんて出るわけねえよなあ。どんな誹謗中傷もらっちまうか判ったもんじゃねえし、もし一件も来なかったとしてもそれはそれでヘコむし。

 あー、ねむ。今日はこれでおわり。あしたからほんきだそ

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短編公募用・下書き 飯星咲也 @sally_org

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