支援職、最強になる~パーティを追放された俺、微妙なハズレスキルと異世界図書館を組み合わせたらえらいことになった。は? 今更戻って来い? 何言ってんだこいつ?~
第18話支援職はランク昇格試験を受ける1
第18話支援職はランク昇格試験を受ける1
シャーロットさんが慣れた感じで闘技場へ俺達をエスコートしてくれる。
「Cランク特別昇格試験はね。ギルドの指名したBランク冒険者と試合をしてもらうの」
氷の受付嬢ことシャーロットさんがCランクに昇格するための試験の内容を説明してくれた。ギルドより指名されたBランク冒険者と試合してその内容を見てギルド長の判断で決まるそうだ。
「すぐに呼んで来るね」
シャーロットさん呼びに行くと、ほどなくして試験官一人とギルド長がやって来た。
まずは一人目、剣技試験だ。この後に魔法試験がある。
「おい! お前! ひょっとして勇者パーティを追放されたハズレスキルじゃねぇか!!」
ふいに明らかに粗暴そうな冒険者が挨拶もなく唐突に話しかけてきた。
どう見ても紳士的な態度じゃない。
とはいえ、試験をさせてもらう身なので気を使わざるをえない。
「は、はい。俺は勇者パーティの一員、いえ、一員でした」
「ぎゃははは! やっぱりな! その情けない顔! 何度かギルドで見かけたぜ! 俺はな、弱いヤツは死ぬほど嫌いなんだ」
「…………」
はぁ。
世の中広いようで狭い。まさか元勇者パーティの一員だったハズレスキルだと知れるとは。
勇者パーティの落ちこぼれはこんなにも馬鹿にされて生きていかなければならないのか? 勇者パーティがみなから憧れる存在でなければな。
……いきなり頭ごなしに見下されることもなかっただろうに。
「あなた、突然失礼でしょ? レオはとても強くてカッコいいぞ!」
アリスの方が俺より先に怒ってくれた。
だが男も引かない。
「はあ? なんだオメーは? ぶっ飛ばされたいのかよ!」
女の子になんて暴言を。俺はちょっと許せなくなった。
だが、ふいに粗暴な男が俺に下卑た笑みを浮かべた。
「おい、お前、良く見たら上玉の女じゃねえか! 俺とこいつとの勝負で俺が勝ったら、お前、俺の女な。うひょー! 俺、ついているぜ!」
俺はアリスとシャーロットさんの方を向くと。
「どうやら話し合いが通じる相手じゃないみたいだぞ」
「あのね、レオ君。この人、かなりの戦士(笑)だからね、身の程を教えてあげてね♪」
俺は支給された木剣に手をかけると、その時一人の男性が割って入って来た。
「おい、クズ・ザマァ、いい加減にしないか? いくらCランク昇格希望者と言っても……失礼だろう?」
「し、失礼?……こんなヤツがCランク昇格なんて100年早いってもんで。こんな才能無しは早めに諦めた方がいいですぜ!」
俺と試験官のB級冒険者の間に割って入ってくれたのは、明らかに歴戦の冒険者……おそらくギルド長だろう。
しかし。
「あのね。あなた一体何を言ってるの? それに人のことを物みたいに……それにそうね、歳相応の礼節をもった態度が取れないなんて、きっと惨めな人生を歩んで来たのね」
「て、てめぇ!」
これはタダじゃ済まないな。
アリスも辛辣だし。
粗暴なBランク冒険者は明らかに頭に血が昇っている。
そして。
「偉そうなこと言ってるけど、その歳でBランクじゃ万年Bランクのうだつの上がらない底辺冒険者でしょ? 人のことより、先ずは自分が偉くなったらどうなのかしら?」
「お前! 黙って聞いてりゃ!」
そういうと、粗暴な男はアリスに詰め寄って来た。
「おい、いい加減にしろ。ギルド長の私の前で暴力沙汰など起こしたらわかってるな?」
「グッ。わかりやしたよ……。クク……。徹底的になぶってやる……」
ギルド長にたしなめられはしたけど粗暴なB級冒険者はこれが試験だということを失念しているらいい。まあ、いいか俺も自分やアリスを馬鹿にされて腹が立ったし。
☆☆☆
「双方準備できたようだな?」
「はい。いつでも大丈夫です」
「もちろん、いつでもなぶり、いや試験出来やずぜ」
だが良く見ると試験官は立派な剣を装備していた。
いや、これ、卑怯だろ? こっちは木剣で相手は立派な剣とか? おかしいよな?
「あの、すいません。試験官の方は立派な剣で、俺のは支給された木剣なんですが?」
「お前、馬鹿か? お前みたいな未熟者がまともな剣を振るったら怪我するだろ?」
「レオ君、すまんが、その試験官、クズ・マヌーケのいう通りだ。規約で決まってるんだ」
「わ、わかりました」
それにしても……クズ・マヌーケって……わかりやすい名前だな。
「レオ、頑張るんだぞ!」
「レオ君。頑張るんだよ」
「ああ、ありがとう」
アリスとシャーロットさんが応援してくれる。ここは男として勝ちに行きたい。
俺は気合いを入れるとB級冒険者クズ・マヌーケと対峙した。
「おい、お前、そんな防具でいいのか?」
「かまわないよ。俺は符術士だから大袈裟な防具を装備すると素早く動けない」
「そうか、お前、符術士か」
俺が答えるとクズ・マヌーケはニヤリと嗜虐的な笑みを浮かべる。
俺が剣技系の才能を持たないことを確認して有利を確信したんだろう。
「ちなみに……俺は剣闘士の才能だ。お前みたいなハズレスキルじゃねぇぞ」
「俺が自分の才能を明かしたから公平にしてくれたんですね?」
「____ばーか! な訳あるか! ただの自慢だ!」
やっぱりな。わかってたけど。
「ふふ……。防具なしか……これなら徹底的になぶることができるな……」
「何か言いましたか?」
「いや、何でもねえ」
クズ・マヌーケはそういうと剣を構えた。
「では双方始めぇー!」
そういうとギルド長は試合開始の合図として手を高く掲げ、試合開始を宣言した。
スパーン!
俺は闘気強化のスキルを発動すると、対戦相手に急速に近づき木剣でクズ・マヌーケの胴に一撃を入れた。
「え? ほげぇえええええ!」
俺の剣戟を胴に受けたクズ・マヌーケは奇声を発すると闘技場の壁にすっ飛んで行き、めり込んだ。
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