第13話支援職、Fクラスダンジョンを目指す

「……あ」


俺をハイライトの消えた目で見ていたクロエというエルフの女の子が倒れてしまった。


俺はすかさず手を差し伸べて抱き寄せる。そしてそのままお姫様抱っこする。


「大丈夫か?」


「……あ。すいません。緊張の糸が切れたら……え? 僕、戦士なのに……お姫様抱っこ?」


「ん?」


何か変なことを言って何故か顔を赤めるクロエ。


「あ! 里を! 里を助けて下さいね! お、お願いします。僕に出来る事なら何でもするね!」


「その前に俺の名はレオ」


「私はアリス。でも何でもしますとか言っちゃダメだぞ。レオのエッチなおもちゃになっても知らないぞ。コイツ意外とタラシだぞ」


「アリス。俺がそんな事する訳ないだろ?」


アリスは何故かプンプンしてるし、目のハイライトも消えたままだ。


別にアリスと付き合っている訳じゃないし、アリスは王女様だしな、俺の勘違いだよな。ちょっと恥ずかしいな、アリスから好かれているのかな? なんて……自意識過剰だ。


クロエはちょっと錯乱しているのか、さっき説明してくれたのに再び俺達に助けを求めた。


確かに解答はしていなかったか?


「アリス、クロエさんの里は帝都へ向かう街道沿い見たいだ。助けてもいいだろう?」


「もう! そんなの断れないじゃない! ……でも、相手は……魔族?」


「話を聞く限りそうだな。だが大丈夫だ。三人で相手すれば何とかなる」


「無理ゲーにしか思えないんだけど?」


「大丈夫だよ。俺、上級符術使えるから支援魔法を受ければ魔族ともみんな対等に戦えるよ。レベリングできたら神級の符術も使えるようになるから、レベリングも必要だな」


「は? 符術に上級? レオ、一体何を言ってるの?」


「ああ、まだ話してなかったな。俺、世界図書館で創世級魔法までの符術を全部覚えたんだ。多分、最強の支援職だぞ」


「さ、最強の支援職……ねえ」


何故かアリスのハイライトの消えた目が更に白い目になって俺を見る。


「まあ、そういう訳だからクロエさんの里は俺に任せろ」


「あ、ありがとうございますね。あと、クロエと呼び捨てにしてね。仲間なのね?」


「わかった。クロエ、君は仲間だ」


「それにしても、このままだとクロエさんは危険ね。ちょっとカモフラージュしたほうがいいぞ」


そっか、クロエは亜人、エルフ。人族では亜人は蔑まれている。だから奴隷狩りにあったりと人として認められていない。


「まあ、俺と同様ご主人様はアリスってことでクロエには奴隷として振る舞ってもらおう」


「そうだね。その方が安心できるぞ」


俺は錬金の符術で俺と同じ奴隷の首輪を作った。隷属の呪文は見えないが、この首輪をしていると奴隷だとすぐにわかる。他人の持ち物に手を出すやつはいないから、これで人の世界でも少しは安全になる。


「……レオさんって……奴隷なんですか?」


「そうだぞ。私の奴隷だぞ。レオはカッコいいだろ?」


「アリス様、レオさんとつがいになる許可を下さい」


「はあ? あなたご主人様差し置いて何を?」


「え? アリス様って自分の奴隷に惚れてるんですか?」


「ば、馬鹿ぁ! な、何を言ってるの! 違うもん、惚れて無いもん。今すぐ結婚したい位とか、新婚旅行の前に婚前旅行もいいなぁとか、わ、私達、目と目が合うだけで心が通じ合っちゃうね! これ、夫婦同然になったからなのね! だなんて全然思ってないぞ!」


俺はアリスがいつもを発症したから、


テシッ


軽く叩いておいた。


「痛いよー」


「アリスのことは放っておいて、これから東のダンジョンを攻略するぞ」


「え? すぐに帝都を目指すんじゃ?」


「すまん。路銀がなくってな。街道の商人の護衛を受けながら旅をしようとしてるんだ。俺、冒険者ランクFなんだ。だから早くCランクにならないと」


「へ? レオ様が、このレオ様が冒険者ランクF?」


何故かクロエは頭を抱えて何かブツブツと言い始めた。

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