15話 引きちぎる老婆

血みどろになった教室を、灰塚と共に後にする。


あれだけ綺麗にされていた教室が数分で殺害現場と同等のビジュアルになってしまった。


後で教師たちにこってりと絞られる、というか下手したら事件沙汰になるのではないだろうかと頭を抱えていると、灰塚は苦笑を浮かべて手を振ってみせた。



「安心して。それは〈 残影 〉よ。賢治にはどう見えたか分からないけど、私には普通の天井に見えたわ。恐らくは〈 天に昇りたくないという気持ち 〉があの場に焼き付いて、貴方に視せた情景。祓い場ではよくあることだわ」


「そうか。なら、騒ぎになる心配はないってことだね」


「……普通の人が見れば、ね。あれだけ強い〈 残留思念 〉ですもの。〈 わかる人 〉には分かるんじゃないかしら」


「え?」


「大丈夫よ。賢治ほどの力を持った人間は学校には数人しかいないもの。明日の朝になれば消えているわ」



活き活きとしていたあの笑顔は影を潜めて、今ではいつもの無表情に戻っていた。


本当、この人は《 霊 》を相手にしている時と普段では性格が変わるな。



「灰塚は家業を継いだんだよね」


「えぇ……。家業の〈 祓い屋 〉をしているわ。賢治は“家業”は継がないのかしら」


「…………継がないよ。僕には向いてない」


「そう……」



それ以上、話を続けることはなく僕と灰塚は静かに薄暗くなり始めた町を歩く。


帰宅ラッシュなのだろう。車も多いように感じた。



「あれ……?」


「どうしたの……?」



ふと、周りを見渡して気がついた。

《 彼女 》がいない。


いつも隣にいた《 透明感溢れる美少女 》がいなくなっていたのだ。


いくら透明感が売りといっても、〈 守護する者 〉として姿かたちも見えなくなるのはどうなのだろう。


キョロキョロと周りを見渡して、さらに気がついた。


《 人ならざるもの 》の姿も視えない。

こんなこと、始めてだ。



「あれ?変だな。霊の姿が視えない」


「……それは、私がさっき〈 祓い 〉をしたせいね。護符の力の余韻がまだ残っているのでしょ。しばらくすれば、向こうから惹かれてやってくるわ」



視えないのではなく、護符を使用したことで《 霊 》たちが離れているのだと説明してくれる。


詳しいことは分からないが、一時的なことだと分かりホッと胸を撫で下ろした。



「フフ……。賢治は面白いわね」


「ん?何が?」


「昔から《 霊 》の相手は面倒だと、距離をできるだけ取って生きていた貴方が、少し《 霊 》の姿が視えなくなっただけで不安そうな顔になるのよ?」


「そ、そんなことないさ。人に視えないものなら、視えない方がいいに決まってるじゃないか。生きていくには〈 視える 〉、それだけで不便なもんだよ?」


「でも、確かにさっきの貴方は不安そうな顔をしていた。きっと、長い月日の中で〈 非日常 〉があることが、貴方の中で〈 自然 〉なことになったのでしょうね。それほどまでに、貴方と《 霊 》の繋がりは深いということよ」



私とは真逆だわ、と小さく笑みを浮かべて灰塚は止めていた足を動かし始める。

学校から随分と離れてきた。


未だに到着しないのは僕らの歩みが遅いせいか、それとも単に目的地が遠いのか。それは分からない。


ただ、どうしようもなく嫌いだった人間とこうして行動を共にしているというのに、どこか不思議といいなと感じてしまう自分もいた。


彼女と昔、こうして笑い合いながら共に過ごした経験がある。それも随分と昔のことだが……。



「灰塚は〈 祓い屋 〉をなんで継いだの?あんなに嫌がってたのに」


「そうね……。お爺様の代で潰すわけにはいかなかった、というのが理由かしら」


「そうか」



彼女の祖父はこの辺りで有名な〈 祓い屋 〉をしていた。うちの爺ちゃんとも仲が良く、よく二人で出かけていたこともあった。

僕も何度も良くしてもらったことがある。



「建前上は、ね」


「ん……?」



気になる言い方をする。


しかし、それ以上の言葉を聞くことはできなかった。



「賢治。そこの角を曲がったら、現場よ」


「あ、あぁ……」



灰塚に示された通りに角を曲がると、写真に映っていた〈 今にも崩れそうな木造家屋 〉がその姿を現したからだ。


「さて、入りましょう」


「……いやいやいや!灰塚さーん!?ちょっと待ってくれる!?」



到着早々、灰塚は崩れそうな家屋を見回すとこくりと頷きスクールバッグを担ぎ直す。

そのまま、まるで自分の家のように中へと入ろうとするではないか。


置いていきそうな勢いの彼女の肩を掴むと、くるりと自分へ振り向かせる。


さらりと黒く長い髪が闇夜に靡いて、お香のような香りが広がった。最近の女子学生には珍しいけど、僕は結構好きな香り……って、そうじゃなくて!!



「どうしたの?《 霊 》が怖いなら、手を繋いでもいいわよ?そのまま、誰の邪魔の入らないところまで連れ去ってしまうけど」


「手を繋いだら、連れ去られるの!?そっちが怖いよ。どさくさに紛れて何言ってんの、この人。そうじゃなくて、経緯を教えてくれないか?なんで、こんな今にも崩れそうな家に来たの!?ナチュラルに入ろうとしたけど、ここ君の家じゃないでしょ!?所有者に許可貰ったの!?不法侵入は法律で禁止されてんのよ!?知ってる!?」


「…………?」



色々と情報が足りないのだと、懸命に説明を要求するがその声は届いるのかいないのか。

いつもの無表情で、ハテナ?と小首を傾げてみせると少しの間の後にグッドサインで答えてくれた。



「…………大丈夫よ。さぁ、入りましょう」


「だから、待って!ちょっと間があったのはなに!?逆に気になる!」


「はぁ……。賢治、私は残念で仕方ないわ」



頭を抑えて、ヤレヤレとオーバーアクション気味に肩を竦めてみせると深々とため息を吐く〈 頭おかしい女代表・灰塚望桃 〉。


あー……僕、やっぱコイツ嫌い。



「貴方と私は一から十まで説明しなくても大丈夫な間柄だと思っていたのに……私は残念よ。悲しいわ」


「残念で悲しいのはお前の頭だ。僕たちはそんな親しくないだろう?“あの件”から互いに疎遠になってどれくらい経ってると思ってるんだ」


「私は疎遠になったつもりは無いわ。いつも、どこでも私は貴方を見ていた。貴方のことならなんでも分かるわ。今日の下着の色までね」


「ちょっと、やだぁー!?おまわりさーん!ここにストーカーがいます!助けてくださーい!僕、今からきっと何かされちゃう!最悪、殺されちゃう!」


「殺しなんかしないわ。ずっと、一緒に暮らすの。ずっと……ずっと……死がふたりを分かつまで。フフ、ふふふ……!」



僕の服を掴むと、その無表情な顔の口角だけをあげて身を寄せてくる。


フフ……と含み笑う口から零れる未来予想図はまさに狂気の沙汰。


とてもじゃないが、こんな異常者と二人で幸せな結婚生活なんか送れるわけがない。



「はぁ……もう分かった。この件が終わったら、マジで近付かないでくれ。君との未来は死よりも恐ろしい情景しか思い浮かばない」


「あら、それは心外だわ。今度、二人で二人の未来についてじっくりと話し合って、勘違いを正さないと……」



ガサゴソと、自身のバックを漁ると灰塚は何枚かの紙を取り出し僕に手渡してくる。


紙には〈 調査依頼 〉と書いてあった。


場所は住所から察するにこの場所で間違いないだろう。

どうやら、誰かの依頼でこの場所を調べることになったらしい。

それに僕は付き合わされているということか。



「最初からこれ見せてよー。疲れたよぉー。今までの時間返してよー。単に恐怖を塗り重ねられただけだよー」


「賢治、時間は戻らないのよ。人は前に進むことしかできないの」


「ほんと、君とまともに会話できる気がしないんで、もう黙っててもらっていいですか……」



無表情はそのままに、拳を握りしめながら声だけは少し強めに自論を展開する灰塚さん。


お陰で僕の疲労は三割増しになった。


手渡された紙を街灯を頼りに読み進めていく。

書いてある内容を要約すれば【 この古びた家屋に関する怪現象の調査と解決の依頼 】だった。


調査は〈 祓い屋・灰塚望桃(ハイヅカ モモ)〉本人へと依頼されており、その依頼主はなんと……



「町から依頼が出てるんだ!すごっ!」


「よくあることよ。この町は土地の影響で、そうしたものが集まりやすいの。ここを収めていた当時の領主からお願いされて、私の祖先となる〈 灰祓い一族 〉は古くからこの地に腰を下ろして〈 祓い屋 〉をさせてもらっているの」


「領主……って、もしかして教科書に載るくらい前の話?」


「そうね。お爺様が遺してくれた文献には、当時の大名の名前があったわ」


「だ、大名……。へ、下手したら国家機密に相当しそうな内容だね……」


「それだけ、私たち一族とはズブズブの関係ということよ。それはもう、三途の川よりも深い関係ね」


「き、聞かなかったことにします……はい」



変なことを言っての逆鱗に触れるわけにはいかない。僕は口を噤んで、この話を墓場まで持っていくと決めた。



「なるほどね。事情はわかったよ。そういうことなら、大手を振って協力できる」


「……意外だわ。賢治からそんな前向きな言葉が聞けるなんて」


「何度も言うが、君のことは好きにはなれない。“あの件”がどうしても引っかかってるからね。それが解消されない限り、僕が君と手を取り合うことはないだろう。だけど、今だけは手を取り合うことはなくても、同じ方向を向くだけの努力はしよう」


「…………なるほどね」


「そう。今回限り、一時的な協力関係でよければ手を貸し『神の御前で愛を誓い合うのと同じということね』……いや、全然違うから」



ほんのりと頬を染めて品をつくる灰塚の後頭部にチョップを落とすと、気を取り直して家屋へと目を向ける。


朽ちて壊れた壁や窓の穴から、こちらを覗くたくさんの気配がする。


家の前で騒いでいる間に、〈 祓いの余韻 〉は消えてしまったようだ。


…………しまった。ここで、馬鹿なことやってる暇があったらさっさと中を確認しておけばよかった。


そうすれば、余計な《 人ならざるもの 》たちとの接触は防げたというのに。



「大丈夫よ。貴方には強い味方がいるでしょ?」


「〈 余韻 〉が切れたってことは……あ!僕の〈 頼れる相棒 〉!」


「そう。この私……灰塚」


「《 古城 藍菜フルジョウ アイナ 》!!」


「え……誰? 」



ー ズシリ!


《 万全セキュリティ前髪守護霊、アイナちゃん 》が僕の呼び声に応えるように、背中へとおぶさってきた。


最近、慣れてきたこの感覚に堪らなく安心感を感じ、思わずホッと胸を撫で下ろす。

だけど、少しの間とはいえ、僕を不安にさせたのだ……。

その代償はあって然るべき!よって、叱ります!



「はぁー……うおぉー!古城さーん!どこいってたんだよー!寂しかったぞ!怖かったんだぞー!もぉー!あっちこっち行かないでよぉー!」


『ーー……!?~~……???』



振り向き様に突然抱きしめられ、《 古城さん 》は混乱しながら目を見開いて驚く。

それでも、縋り付く僕を落ち着かせようと抱き締め返し頭を撫でてくれた。



「うぉーん!古城さーん!」


『 ーー……(クス……) 』



この時、《 古城藍菜 》は頼られている喜びに、少々御満悦の様子だったのはここだけの話……。



「えーっと……誰?」



一人、肩を透かされた形となった〈 灰祓い一族の跡取り娘 〉だけは状況が呑み込めず、一人首を傾げるのだった……。


「よし!もう怖いもんはない!こっちには《 強い味方 》がいるからね!さあ、行こう!〈 未練 〉を晴らしに!」


『 ーー……! (ゴーゴー!)』



背中に《 古城さん 》が憑いた僕は、最早敵無しと言わんばかりに〈 禍々しい気を放つ家屋 〉へと目を向ける。



「まさか、新たに〈 守護霊 〉をつけていたなんて……一生の不覚……。完全にリサーチ不足だったわ。まったく……賢治を常時観察してこその〈 オカルト研究部 〉でしょう?なんのために人を集めていたと……それもこれもあの“ 執拗い男”のせいよ……。どうしてやろうかしら……消す?消すしかないわね……」



隣では顎に手を当て、ブツブツと何か不穏な言葉を呟きながら灰塚は思慮の淵へと落ちる。


ちょっと待って?今、変なこと言ってなかったか?


〈 オカ研 〉って、俺の監視のために作られた組織だったの!?


こわっ!本当にストーカーじゃん、この人!



「まぁ、いいわ。私が見ていられない間のボディーガードと思って、ここは目を瞑りましょう」



それより、と灰塚も気持ちを切り替えたのか真面目な顔に戻ると家屋へと目を向ける。


バックから懐中電灯を二つ取り出すと、僕へと手渡す。

二人で動作確認を行うと、いよいよ家屋へと入る決意を固めた。



「それじゃあ、中に入りましょう」


「あぁ……」


『ーー……(こくり)』


ー カチッ!……ガラ…ガラガラ…!



僕らは頷き合うと、管理用の鍵を使い玄関からゆっくりと中へと入る……。


中に入って最初に目に写ったのは、やはり長い月日の影響で風化した壁や床だった。


家主がこの家から去って、何十年も放置されていたようだ。



「やはりというか、中は結構荒らされてるね」


「えぇ……。昔は心霊スポットとして有名で、地元の若者たちが度胸試しに中に入っていたようよ」



入った瞬間から、出迎えたのは荒らされた家具と割れた姿見。

至る所にある落書きだった。

しかし、POPな落書きはほぼなく、簡単な線で書かれた文字や記号がそこにはあった。



「落書きが比較的古いね。昔はって、ことは最近は人の出入りがないってこと?」


「そうよ。数年前にここで若者たちが“事故”にあった。それからは誰も出入りをしないの。〈 呪い 〉がかかるからと、皆が恐れて近付かなくなったのよ」



〈 呪い 〉と呟いた灰塚の横顔はどこか面白そうな表情を浮かべていた。


祓い屋は呪いの類いにも詳しいと聞く。

むしろ専門といってもいいほどに、その知識は豊富なのだろう。


だからこそ、ここで云われる〈 呪い 〉がどんなのものか興味があるのだろう。



「え……。僕たち、呪われるんですか?」


「えぇ。噂では家に入った時点で呪われるそうよ?ここに入った若者たちは何らかの怪我をしたらしいわ」


「ちょっとー。何してくれてんの、ほんと……」


「……大丈夫よ」



だから、説明なしに安心できないって。



「はぁ……もう、そういうことする人、嫌い。」


「賢治ったら、照れちゃって。ふふ……!」


「照れてない。あーもう、さっさと〈 調査 〉するぞ。」



勘違い娘を置いて、僕は家の中の調査を始める。



《 ーー……。ーー…… 》

《 ーー……。ーー…… 》



家中の至る所に気配を感じる。この家が心霊スポットの一つとして数えられてから、人が出入りする中で寄り集まったモノ。

長い年月の間に、浮遊して集まってきた迷えるモノ。


そうしたものが寄り集まって、この家の中で息を潜めているのだ。


家の外にいる《 カタチを忘れたものたち 》以上の存在がここにはいる。


得体の知れない存在を、身体は確かに感じていた。


ー ゾゾゾ……!



「(鳥肌がすごい……。外とは空気が全然違う)」



ギィ…ギィ…と足音を響かせ、僕らは木造の玄関から伸びる廊下を歩く。

とても、懐中電灯だけでは心許ない。

中はとても暗く、歩くだけで神経をすり減らしていくようだった。



「この先にある床の間。そこが一番危ないと言われているわ」


「そんなところに行かなきゃいけないの……?」


「私はそこにこの家に寄り集まる霊たちの《 核となる霊 》がいると考えているわ。それさえ祓えれば、《 集まった霊 》も離れていくはず。それができれば、この家はただの“古い家”。取り壊しでもなんでもできるわ」


「それも経験談?」


「今までも、大抵そうだったわ」


「《 核となる霊 》ね……」



暗い廊下を歩きながら、この家の様子を観察する。

至る所に落書きがあり、家具は壊されるかまたは持ち去られている物もあるようだ。


家自体はそれほど広くなく、二三人で生活していただろう大きさ。

木造家屋なだけあって、近代的な物は見当たらない。

建てられたのも昭和の頃の話だろう。


なんで壊されなかったのか…と考えたが、結局はここに纏わる〈 噂 〉に帰ってくると思い聞くのをやめた。



「(呪いか…。霊がいるんだから、呪いもありそうだけど、何か悲しいな。今日まで人を呪うほどに強い思念がここに残ってるなんて。中心にいる《 霊 》は本当にツラくて悲しい想いをしたんだろな……)」



中に居るという存在。

恐らくは写真にその存在を遺すほどに浮かび出た《 老婆 》こそ、その正体だろう。


何があったのか。それは分からないが…可能なら、その〈 未練 〉から解放してあげたいと考えていた…。



「その部屋よ」



何個か部屋を通りすぎた時、灰塚は一つの部屋を指さした。


襖で閉め切られた部屋だ。


風化のせいか、全体的に汚れや破れが目立ちとても古く見えた。

開けようと手をかければ、そこから崩れてしまいそう。


開けるのを躊躇していると…


ー プチ……プチプチ……


「 ……音? 」



中から何やら音がしてきた。

家が古く、家鳴りが酷いのかと思い耳を澄ましていると音はますます大きくなっていく。



ー プチ…プチプチ…!



「何か音しない?」


「ラップ音ね。心霊スポットではよくあることだわ」



まるで糸を一本一本引きちぎるような音……。

中で裁縫でもしているのか?

いや、それにしては変だ。糸を縫うのではなく、“引きちぎる音”しかしない。



「ラップ音って、こう…ギシッとかパキッとか、家鳴りに近い音じゃないの?にしては、この音はなんか…」


「全般的に誰もいないようにみえる空間から異音がした場合は、総称して“ラップ音”とされるわ。まぁ、大抵が建物の軋みや幻聴がほとんどね。でも稀に……」



ー プチ…プチ!……プチプチ!



“本物が、混じっていることもある”と小さく笑って、灰塚は襖の引き手へと手をかける。

そのまま、スーーッ……とゆっくり襖を開けた。



「うっ……!?」



瞬間、僕は息を呑む。


いる…いるよ。


外から差し込む街灯の光に照らされて、床の間の真ん中に敷かれた古い布団の上に…《 老婆 》が背中を丸めて座っている……。


こちらに背を向けて、老婆は首を前後にゆっくりと揺らしている……。



『 ーー…… 』


ー プチ…プチ…プチプチ…



異音がまた大きくなった…。

何か、糸を引きちぎるような音が部屋中に響く。



「……いるのね?」


「…………あ、あぁ。いる。《 老婆 》が布団の上に座ってる」



ー プチ…プチ……



「依頼主の情報では、この家にはお婆さんが一人で住んでいたらしいわ。この家の、まさにこの部屋で亡くなっていたらしいの」


「この布団で亡くなってたってこと?」


「そう視えてるなら、そうなのでしょう。この音はやっぱり布団かしら?」



ー プチ…プチプチ……!



二人で部屋を見渡す。いつ倒壊してもおかしくないほど、壁や天井、床が劣化した部屋。雨漏りもしていたのか畳の床は腐り、ブヨブヨと嫌な感触を靴の裏から返してくる。

妙にカビ臭く、息もしずらい…。


部屋全体が、腐敗しているような感じだ。


そして、その部屋の真ん中には埃とカビに塗れた布団。

そして、ボサボサになった髪と薄い衣の痩せこけた老婆が座り込んでいる。



プチ…プチプチ……!



耳に響く何かを引きちぎる音は部屋の真ん中……。

背中を向けた老婆の方からしているようだ…。



「……うん。あの布団の上に座った老婆からしてる気がする」


「そう……」



頷いた灰塚は一度頷いてみせると、おもむろに腐った畳を滑るように歩き出した。



「え?あ、ちょっと、灰塚?」


「これは……」



布団に近付くと、灰塚は首を傾げる。

あとに続いて、歩き出した僕はお婆さんの背中を見つめながらゆっくりと近付く。


急に振り向かないで。

お願いします。

気付かないで。

飛びかかってきたりとかしないで。

お願いしますから。


僕は心で祈りながら、一歩一歩近付いていく。



ー プチ…プチプチ……!


「はぁはぁ…!」



だんだんと老婆の姿が近付いてくる。

それに合わせて呼吸も荒くなってくるのが自分でも分かる…。

緊張で鼓動がうるさい。

息がつらい。



「見てみて、賢治。人形よ」


『 はぁー…!はぁー…!はぁー……! 』


ー プチ!プチプチ!プチプチ!プチ!プチプチ!


「ひっ……!!?」



〈 人形を見つけた 〉と灰塚が指さす先に目を向けると、僕は再び息を呑む。



《 老婆 》が一心不乱に人形の頭にかぶりついて、その髪の毛を貪り食っていたのだ。


後ろから見ていて、頭を振っていたように見えたのは人形の頭に被りついていた動作だったのだ!


部屋前から聞こえていた音も、人形の髪の毛をその口で引きちぎる音だったのか……!



ー ゾゾゾ…!



僕は思わず腰の力が抜けてそこに座り込むと、全身を襲う寒気と震えに身を固くする。


鳥肌が止まらない。震えもと止まらない。


金縛りにあったように視線が離せない。


「はぁっ!はぁっ!はぁっ!」


『ーー……!ーー…ー!クチャ!クチャ!ーー……!クチャ!』


ー プチプチッ!プチッ!プチッ!プチプチッ!


《 鬼のような形相の老婆 》が人形の頭にかぶりついて、髪の毛を毟り食う姿を視せつけられる。


この老婆はもう手遅れだ…正気じゃない…。

会話なんて…できない…。


親の仇のように人形を睨みつけて、一心不乱にかぶりついて…。


こんな〈 思念 〉いや、〈 怨念 〉……触れるだけで“引っ張られてしまう”!


それを一身に受ける人形も……



「ひぃっ……!?違う…!人形じゃない!人形なんかじゃない!」


『ーー……!クチャ!ーー……!クチャ!クチャ!』


ー プチプチ…!プチプチ!



子供だ。小さな子供の頭にかぶりついていた。


白目を向いた髪の長い子供が《 老婆 》に髪を毟り食われている。



「っ……!!?」



これ以上はとても視ていられない!

僕は老婆の姿から、目を逸らそうと視線を横にズラしたときだった……。


トン……と、背中に触れる手の感触。

立て続けに襲ってくる恐怖の連続に僕の理性は崩壊寸前であった……。


『 ーー…… 』


ー ギュッ…


もう一度、そっと肩に触れる手を感じ振り返る。

そこには前髪に目元が隠れた《 女の子 》が心配そうに僕の顔を見ていた。



「ふ、古城フルジョウさん…」


『 ーー…… 』



《 古城さん 》は一度、強く頷くと僕の前に回って座り込む。


そうして、そのまま《 老婆 》へと向き合った。


まるで、自分を盾にするように、老婆との間に座り込み視界を遮ってみせたのだ。


その中学の服を着た背中がとても大きく視える……。


不思議とその背中を視ていると、安心感がじんわりと広がり呼吸が落ち着きを取り戻していった。

全身の震えと固さがとれ、手足にも力が戻ってきた。


腰が抜けていたのだとその時になって初めて気付き、思わず自分の無様なさまに苦笑を浮かべる。



「すごい汗ね。大丈夫?」


「……古城さんが、助けてくれた。今も《 老婆の思念 》の干渉を受けないように間に立ってくれてる」


「そう。さすがは〈 守護霊 〉だわ」



口元に笑みを浮かべ、期待以上の働きだと満足そうに頷くと灰塚はスクールバッグから縄と札を取り出し、布団の周りを囲って行く。


透明な硝子ボトル取り出すと、布団の前に盛り塩と共に置いてその前に腰を下ろした。

ロウソクと線香を立て、手に数珠を持つと僕へと振り返った



「じゃあ、〈 霊祓い 〉を始めるわよ」


「〈 強制的に排除 〉するのか……?」


「《 霊 》の姿が遺っているということは、〈 強い思念 〉が残っているということでもある。この《 霊 》が、《 周りの霊 》に何らかの影響を及ぼしていることは間違いないわ。それに、ここまで家が荒れているのも、風化や侵入者の手によるものばかりじゃない。《 霊 》に護りたいという意思があれば、原型がここまで崩れることはないわ。《 霊自身 》もこの家に対して…いえ、“この家に関わった者”へ〈 怨嗟 〉に近い感情があるのよ」


「この《 お婆さん 》に……何があったっていうんだ」


「どちらにしても、このまま放置はできない。この霊が〈 カタチ 〉を覚えてる間に祓わないと、あの世に渡れなくなる」


「 …… 」



カタチを忘れた霊は、あの世に行っても自分のことを覚えていない。そのため形が定まらず、自分が誰かも分からず、冥府で彷徨う亡者と化してしまう。

還るべき場所、あちらで待っている人、何も分からないままに彷徨い続けるのだ……。


そしてやがて、消失する……。


それは存在がなかったことになるのと同等のこと。


そんな悲しい未来になる前に、幽世へと強制的に送ろうと、灰塚望桃は言っているのだ。



「できるだけ、優しくしてあげてくれないか?恨みつらみは生活で生まれた一時の感情だ。必ずこの《 霊 》にも幸せな時間はあったはずなんだ」


「努力はするわ」


「僕もできるだけ、祈るから。少しでも、《 お婆さん 》の気持ちを汲んであげられるように。素直にあっちに逝けるように」


「フフ……分かってるじゃない。それがあなたの“眼”の意味よ」


「え?」


「さぁ……。始めましょうか」



そうして、手にした数珠を握り直すと手を合わせて真言を唱え始める。

その声はとてもゆっくりと落ち着いたもので、どこか日の温かさのようなものを感じた。



『 ーー……ーー…… 』


ー プチ…プチ…プチプチ…



灰塚のお祈りを聞きながら、僕も手を合わせ目を閉じる。目を逸らすためじゃない。《 霊 》と向き合い、心の眼で視るために。


この眼でも視えるけど、そんな表層の部分ではなく心根の深くにある感情を汲み取るために、あえて視るのでなく感じて気持ちに寄り添うように意識した。


部屋でお婆さんを見た時に、恐怖に支配された。

それはとてもとても深い〈 怒りと恨み 〉を感じたからだ。


お婆さんは鬼のような形相だった。

恨みつらみを抱いた目で、子供を見ていた。

でもその目には、引きちぎる瞬間に“涙”が浮かんでいたんだ。


その意味をお祈りを聞いてる間……ずっと考えていた。



『どうか…どうか…。《 お婆さん 》の気持ちが少しでも、少しでも救われますように…』



それだけを想い、ずっと手を合わせ続けた。

《 霊 》に寄り添ったせいだろうか。



ー おぎゃあ!おぎゃあ!



どこかで、赤ん坊の鳴き声が聞こえた気がした…。


布団に座るお婆さんの姿が視えたのはそんな瞬間だった……。



『ーー…。ーー……』



お婆さんが人形を抱えて、頭を撫でていた。

優しい顔で…まるで泣いている子供をあやす様に…。

優しく抱いて。微笑みかけていた。



「お婆さん…」



涙が出た…自然と涙が零れた…。


わけが分からなかったが、愛しい想いとともに、酷い悲しさと虚しさが込み上げてきた……。


人形はやっぱり子供だったんだ。

お婆さんは子供を抱いていた。


子供を見つめる顔はとてもとても穏やかで、幸せに満ちていた。



「お婆さん…本当は…子供さんのこと…恨んでなんかなかったんだね。憎くなんかなかった…」


『 ごめんね…ごめんね… 』



お婆さんは僕のことに気付いたのか、近くまで来ると何度も頭を下げる。

それはなんの謝罪だったのか…。

お婆さんはそのまま、子供を僕の手に渡してゆっくりとゆっくりと光の中へと消えていった。



『 ごめんね… 』


「謝らないで!あなたは何も悪くない!」



消える最中、震える声でそう呟いた声があまりに悲しげで、僕は堪らずそんなことを叫んでいた。


何故か分からなかったけど、“お婆さんは何も悪くない。お婆さんが謝るのは間違いだ”と強く思ったんだ。お婆さんは何も悪くない。


ただ、“悲しかった”。その感情だけが胸に強く残った。


僕の声は届いただろうか。目を開けた時、そこにはお婆さんの姿はなかった……。



「んー……!」



変わりにあったのは……目を閉じて顔を近づけてくる灰塚。



「お前、この状況でアホじゃね!?」


「ぶっ!?」



どさくさに紛れて、キスをしようとしてきた〈 祓い屋きってのストーカー 〉の顔面に手に持っていたモノでガードする。



「どさくさに紛れて、何やってんだ!」


「いたた……。ひどいわ?私はただ、気絶していたあなたを介抱していただけよ?」


「気絶してたのか……。いや、気絶していた相手にする行為じゃないだろ」


「マウスチューマウスよ」


「マウストゥーマウスね。なんだ、その効果なさそうな、心肺蘇生法は……。って、これっ!?」



僕は苦笑を浮かべると、手に持っていたモノに目を向け……また息を呑む。


先程まで布団にあった人形だった……。



「私が握らせたの」


「ほんと…アレコレ意味わかんないことするよね、キミ。いっぺん、病院に行ってきたら?」


「産婦人科かしら?知らないの?キスでは妊娠しないのよ?」


「頭の方だ!ったく!それで?《 お婆さん 》はちゃんと送れたの?」


「えぇ……。最初は抵抗していたけど、途中から素直に上に逝ったわ。賢治の気持ちが伝わったのでしょうね……」



天井を見上げると、雨漏りで染みができていた。

本当に古い家だったんだな。



「これで、この家での心霊現象はなくなるでしょう。あと三日、〈 経 〉を唱えれば綺麗さっぱり。晴れてこの家は“ただの古い家”になるわ」


「そりゃ良かった」



お疲れさまと、灰塚は微笑むといつもの無表情に戻り、スクールバッグへと手際よく荷物を詰め込んでいく。


全てをしまい終えると、灰塚は手を差し出した。



「人形ももらうわ。こちらで少し調べて、お焚き上げするから」


「え?ああ、頼むよ」



人形を手渡すと、灰塚は大事そうに人形を抱えてその頭を撫でる。


「はい、それじゃ。パパにバイバイして?」


「灰塚さん、ほんとさー……いい加減にしときなさい」


苦笑を浮かべて、灰塚の背中を押すと家を後にした。


ー 後日談 ー


俺は再び空教室へと連行された。



「帰って」


「うわああぁーん!大林のアホーー!」


「だから、そこに僕は関係ないよね!?」



また、冷たい言葉で灰塚の犬と化した岩坂くんが泣きながら部屋から追い出された。

僕へのヘイトがどんどん溜まるので、いい加減やめて欲しい。


闇討ちとか洒落にならないぞ。



「それで?」


「人形の調査結果とお婆さんのこと、あと、あの家がどうなったかの知らせよ。あと、最後に重大なお知らせがあるわ」


「最後の重大なお知らせは大したことじゃないと思うから、聞かなくていいや。でも、お婆さんの件は聞きたい。せっかくできた〈 縁 〉だもん」


「そうね。まず、人形。あれは、特殊な人形だったわ」


「特殊?」


「えぇ…。人工毛ではなく、本物の髪の毛だったの。鑑定の結末、お婆さんの髪の毛で間違いないそうよ」


「お婆さんの?お婆さんは白髪だったよ?」


「たぶん、若い時に自分の髪を使って作ったんでしょうね」


「そんなもの、なんで作る必要が」


「そこでさらに調べたわ。そしたら、あの人形は元々は娘さんが貰ったものだとわかったわ」


「娘さんの物がなんであの家に?」


「それはね……」



それから聞かされた話はとても僕の頭では理解できない話だった。

胸を抉られ悲しさでいっぱいになるそんな話……。


話し終えた灰塚の顔も珍しく少し暗く見えるほどに、あの家とあの家族関係、あの人形に纏わる話は悲惨なものだった……。



お婆さんの家は少し貧しく、家を借りるので精一杯だったらしい。


あまり物がなかったのも、盗られたわけではなく生前から貧しく買えなかったからのようだ。


父と母(お婆さん)と娘さんの三人で生活していたが、旦那さんは子供が五歳となる前に病で他界した。


家には母一人子一人。

貧しいながらに細々と、楽しく生活していたらしい。

人形は子供が幼い頃に家へとやってきた。

自身の髪を人形師に頼んで作ってもらったそうだ。

単に子供の遊び相手として用意したのだろう。


しかし、それから数年で生活は一変。


高度経済成長で地域に格差が生まれ、大手に仕事が流れ始めた。 そのせいで、勤めていた小さな会社の仕事が一気に激減した。


収入はさらに減り、明日生きるのも大変な状況だったらしい。


子供はなくなく、比較的に裕福な親戚へ預けられることになった。


それからさらに数年。

細々と生活していた母親の元に、成人した娘が訪れてきた。


大層喜んで出迎えたが、そんな母へ娘は無情にも【 絶縁 】の二文字と古びた人形を突き付け、それから二度と敷居を跨ぐことは無かったそうだ。


裕福と貧困の差が少女の心を大きく変えてしまったんだ。


その後、子供から見捨てられた絶望で徐々に身体は壊れていった。

仕事に出ることもできなくなり、生活も再び苦しくなっていった。


お婆さんは看取る人もなく、やがてあの部屋で衰弱死したという…。


発見されたのは、死後から一ヶ月後。

家賃を取りに来た大家が痺れを切らして、中に入ったことで見つかったらしい。


不思議なことに、遺体は腐敗していたものの、人形を抱きしめて離さなかったという。



「《 お婆さん 》ずっと、謝ってたんだよ。ごめんね…って。あれってさ。最後まで育てられなかった後悔の念だったんだね」


「なるほどね……。人形の髪を引きちぎっていた意味もわかったわ。てっきり、子供から見捨てられた絶望から恨みつらみをぶつけているのだと思ってたけど、実際は“子供を手放す選択をしてしまった自分”への怒りだったのね」


「そういうことだろうね」


「つらいわね…」


「つらいね…」



二人で空を眺める。

一雨来そうな空の隙間から一筋の光が地面に射していた。


その光のように、少しでも彼女の気持ちが明るくなれるように僕らには祈ることしかできない。


天ではどうか、彼女が幸せに満たされて欲しい。

愛する旦那さんと再開して、頑張ったねって言ってもらって……。



「少しでも…少し…だけでも…浮かばれてくれないかなぁ……なぁ?灰塚ぁ…」


「きっと…大丈夫よ」



灰塚は静かに頷くと、ハンカチを差し出してくる。


その目にも少しの涙が浮かんでいた。



「ぐす…!うぅ…また、そんな説明もない“大丈夫”で安心なんてできるわけ……。いや、こればかりは…そうだと思うしかないんだよな…」


「えぇ。だから、天でそうなってくれるように…“人は日々祈る”のよ」


「あぁ、そうだな……。そうだよな」



灰塚の微笑みに僕は頷くと、二人で天に向かって手を合わせる。

どうか、《 お婆さん 》が〈 縁 〉を引きちぎるのでなはく、〈 縁 〉を結べるように……。



ーーー

ーー



「ちなみに重大報告って?」



涙を拭ったハンカチを、明日にでも洗って返すからと懐にしまいながら問う。



「〈 オカ研 〉を解散するわ」


「本当に!?てことは、〈 オカ研 〉が今後、僕に付きまとうことはないってことだよね?」


「えぇ。あなたのことをコソコソと嗅ぎ回るのはもうやめるわ」


「そっかそっか…!そりゃ、嬉しい報告だ。これからは〈 オカ研 〉の影に怯えながら逃げ回る必要もないんだね?」


「えぇ。皆にももう、賢治のことを探らないように言っておくわ」


「ありがとう!って、違う違う。それが普通なんだよ。ストーキングを解除されたから、ありがとうはおかしい。そもそも、ストーキングがおかしいんだからな」


「えぇ…。拾ってくる情報も大したことないし、役に立たないポンコツなんて、抱えるだけ時間とスペースの無駄だわ」


「おいおい……。仮にも無茶苦茶な指令に応えてた人間に対してポンコツは失礼…」


「だから、私が直々にでます。私がこれからはあなたを直接見守るわ」


「なーんも、状況が変わってない!むしろ悪化した!灰塚、僕に嫌われてる自覚あるの!?言っとくけど、今回の件はたまたま協力しただけで、昔のことを許したわけじゃないからね!」


「……大丈夫よ。」


「だから、その根拠の無い“大丈夫”はやめてー!?」



こうして僕の憂鬱は続く。


〈 オカ研 〉は解散したが直々に〈 オカ研部長 〉ではなく、〈 祓い屋・灰塚望桃 〉として僕をストーキングするらしい。


どうやら、僕の周りはまた騒がしくなるようだ。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る