その晩の話



自宅に戻って、色々と終えた僕はベッドへと横たわる。スマホをポチポチと弄っていた。

真木さんにお礼の文でも送ろうと思ったが、連絡先を知らないことを思い出す。


そういえば、気恥しさから女の子とは連絡を交換することはなかったな。


我ながら後悔。損な中学時代を送ったものである。

そして、そのまま今に至るのだ。

女の子の連絡一つ知らないとか、高校生としてどうなのだろうか。


ユウなら知っているかと思い、明日でも尋ねてみようかと考えたがやめた。


直接、自分で聞かないと失礼な気がしたからだ。


彼女も町でたまに見かけると言ってたし、次会ったらお礼くらい言おう。


できれば、連絡先も……聞けたらいいなー。



『 また縁があったら、会おうね 』



昼間に見た真木さんを思い出し、思わずニヤける。


正直、昔も綺麗だったけど、今の姿も凄く素敵だった。


ギャルといっても、昔のギャルほどゴテゴテじゃないし。


とても、清潔感があって綺麗だった。



「また、会いたいな……」


『 ………… 』


「はっ!?」



視線に気付き、スマホ画面から視線を外すと、その向こうに《 手を挙げた女の子 》が立っていた。


ベッドの脇に立ち、《 女の子 》が虫を見るような目で僕を見下ろしていた。


とても、とても冷たい目でした…………はい。



「いや待って!決してやましい気持ちとかじゃないから!単にお世話になったからお礼を言いたいだけで!そんな、綺麗だったとか、いい香りがしたとか、そんなことでまた会いたいとか思ったわけじゃなくてね?」


『 ーー……(ジトー……) 』


「ねぇ、聞いて!?お願いします!その目はやめてください!女の子からのそんな冷たい視線は地味にキツイんですよ!」


『 ーー……(ジトトー……)』



その後も懸命に弁明していたが、『虫を見るような目』は就寝するまで変わらなかった……。

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