二幕・後 真世界軍、来る
幕間、あるいは未来
「時間航行システム構築中」
某国某所。森林地帯。地下一八〇メートル。
「着界地点、二〇一二年四月三〇日、現地時間一八時〇〇分、日本、東京、新宿区に固定」
「タイムバグ変動値〇.〇〇三八から〇.〇〇四二。誤差の範囲内と結論付けます」
「目標地点にて特異点を捕捉。二〇一二年四月三〇日、現地時間一八時〇〇分にて着界地点より半径一〇キロメートル以内に確認」
アルファベットと数字の羅列が映し出された液晶を見て、必要な情報が共有されてゆく。
「現時点までタイムライン変動の兆候は確認されていません」
「時間航行システム構築完了まで、残り一分」
少女は深く息を吸い、ゆっくりと吐き出した。
屈強な体躯の男性部下から声が掛かる。
「部隊長、いつでも行けます」
少女は最後に、ウエストポーチの中にある一冊の書籍に触れ、目を瞑った。
「こっちも問題無し」
作戦装備に身を包んだ軍人が、それぞれに割り当てられたポッドに入る。胸、腰、両膝のベルトを装着。
「時間航行システム構築完了」
これより、世界の命運を賭けた時間航行が行われる。
人類の真なる解放と進化を阻害する理性の奴隷どもを滅する為の戦いである。
ポッド内で送受信が可能な通信機能を用い、少女が言葉を届けた。
「智慧ある獣になりてっ!」
同様の文句がもう一つのポッドから通信機能を通じて復唱される。
そして。
「時間航行システム、実行」
そして、少女は過去へ旅立った。
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