少女の名前はシノ。
世代型恒星間航行船の無菌ルームで産まれ、育った彼女は、他の乗組員と――父母とさえ触れ合うことができない体質でした。
スクリーン機能が壊れていて漆黒しか映さない宇宙船の窓と、お世話係の鳥人間型ロボット、そして中枢機械の人工音声。そんな狭い世界しか知らされずに育ったシノの孤独な日々は、ある日を境に大きく変動します。
少女の誕生にまつわる真相とラストに広がる光景は、変わらず孤独を背負っていても光を感じさせるものでした。短い作品ですので、ぜひご一読ください。
こちらは、SF作家・菅浩江氏の『雨の檻』というSF短編の、本歌取り小説とのことです。
原作をご存知の方も読んでみてはいかがでしょうか。