第2話 誰もいない

私の部屋には誰もいない。

当然っちゃ当然だけど。

言わば陸の孤島。

私はこの空間が好きだ。私だけの空間、私だけの時間、私だけのシマ。

面倒なことを全部忘れて、嫌なことをどこかに置き去りにしていられる。

たとえ私が死を望もうとも誰も咎めない。私の部屋は「マイ国家」だ。

布団の中はホワイトハウス、押し入れは軍事施設、ドアの近くは農園でその先が国境だ。

本棚は国立図書館かな。この国の知識が全て詰まっている。

使わなくなった勉強机はスラム街。もうあそこは物置だ。

誰もいないから、未来もない。未来がなければ悩みもない。

今日もホワイトハウスで寝る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

憂いな日記 つきみなも @nekodaruma0218

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ