08 想い・刻をこえて
つまりこの状況には、一切の偶然要素はなかったのである。
あっても誤差以下、微塵の程度。
間一髪で美夜子オリジナル体や
砕いた中に標的がおらず、目的を失った白銀の機体は自暴自棄にでもなったか、それともただ次の標的を定めただけのことか、ガチャリ方向転換、床を蹴って赤いめかまじょへと踊り掛かる。
赤いめかまじょ、美夜子は冷静に半歩動いてかわしていた。
「ロケットパアアンチ!」
かわしざま発射された左腕。
胴体に受けて、白銀の機体はととっとよろけて床に倒れた。
「お父さん……」
戻ってくる左腕を着けながら、美夜子は小さく唇を動かした。
博士……お父さんが、自分の存在を犠牲にしてまで、わたしに戦う力をくれた。
わたしに、守る力をくれた。
それは現在のことだけではなく、ここまでのずっと。
ずっと。
五百年も前から、ずっと見守ってくれていたんだ。
見守っていたというのみならず、その父の壮絶な愛というべき力で二つの魂は融合し、いまここに新しい小取美夜子が誕生したのである。
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