第七話 オレ、ここでやっていけそう。
「大川さまと三虎? お二人とも十六歳だぞ。」
「ええっ! お二人とも背が高いから、オレ、十七、十八歳かと思ってた……。」
「ははは! たしかに、そう見えるな!」
次の日、おそらくオレの父親と同じくらいの年齢の
オレが今いるのは、
衛士団は、四つに分かれていて、
四つの衛士団を統率する、衛士団の頂点、
三虎の父親だ。
副団長は、
三虎の兄だ。
さらに、三虎の母親は、
三虎は産まれた時から
「大川さまは、
押しも押されぬ跡継ぎなんだぞ。」
「ええと……、郷長よりエライんだよね?」
「当たり前だろ! 郷長の上が、郷長を何人も見てる、
こう言えばわかるか?
オレは荒弓に、こくこく頷きつつ、
「ヒェェェ……。」
と言葉を失った。
昨日会ったのは、本物のすごいとこの若さまだった。
三虎は、二、三日に一回、短い時間顔をだし、一緒に稽古したり、
それでも、三虎が十二歳の頃から
「
と、
(荒弓って、いい人そうだ。
オレ、ここでやっていけそう……。)
オレは、
やることは、掃除や、洗濯や、片付け。
あと、
オレは、卯団の人と同じ食事を、一日二回、毎日食べさせてもらえた。
「畑から収穫した野菜を足してるから、
と、ひょろっと背の高く、細目の
(この人も笑顔が優しい。目、細い。)
本当に、お腹いっぱいになるまで食べても、誰からも、文句もイヤミを言われなかった。
皆良い人たちだった。
オレは、皆が
初めてそれを見た皆が、
「えっ。」
と驚いたので、オレも、
「えっ。」
と
「ちゃんと、温度はちょうどいいよ……? 足をぬぐうでしょう?」
親父とその仲間たちは、お湯が冷たくなっているとオレをよく殴ったものだが、皆はなぜかホロリと笑い、
「いい子や……。」
「うんうん、これからもよろしくな。」
と喜んでくれた。
皆良い人たちだった。
* * *
朝の
大川さまは、おそろしく目鼻立ちが整っている。
切れ長の黒目がちな瞳。
優美な顔立ち。
雪のような白い肌。
オレが生きてきたなかで見た、一番綺麗な人だ。
大川さまは、髪の毛を上半分束ね
まっすぐな美しい髪下半分は、胸下までさらりと垂らしている。
三虎は大川さまの影のように、いつもぴったりと寄り添っている。
大川さまは、大豪族らしく堂々としながら、優しそうに笑っているのに比べ、三虎は腫れぼったい目、神経質そうな眉、ムスっとした口もとで、いつも不機嫌そうなので対照的だ。
二人とも立派な身なりで、背筋がピッと伸び、身のこなしに隙がないので、とにかく格好いい。
大川さまの美貌、三虎の凛とした雰囲気で、二人がいるところだけ、冴え冴えと光り輝いているようだ。
初めて会ったときも、親父や
大川さまが、こちらを見て、柔和に笑った。
「おまえか、あの時の……。」
「はい、
オレは頭を下げた。
「成長したら、ここで
そう、大川さまは言ってくださった。
↓挿絵です。
https://kakuyomu.jp/users/moonpost18/news/16818093080751553087
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます