第38話
一ノ瀬の裏切りに会い,浜田をリーダーの座から引き摺り下ろそうと考えていたことを暴露されてしまった谷川は、すっかりクラス内の中で信用を落としてしまった。
「谷川さん、見損なったよ」
「谷川さんまで島崎さんに影響されちゃったんだね…残念だよ」
クラスメイトたちは谷川よりも浜田や一ノ瀬の言葉を信用し、谷川の近くに寄り付かなくなった。
「はぁ…まぁ追放されなかっただけマシだったのかな…?ううん、いっそのこと追放されて、島崎さんや、佐藤さん、佐久間くんたちを探した方が良かったんじゃ…」
深夜。
谷川は一人、他のクラスメイトたちから少し離れた場所で寝そべりながらそんな呟きを漏らしていた。
雲ひとつない綺麗な星空を見上げながら、これからのことを考える。
「島崎さん…どこにいるんだろ…」
頼りの彩音の姿は未だ見えない。
国木田は死んでしまった。
追放された佐久間翔太はどうしているのだろうか。
「うぅ…お腹すいたなぁ…」
浜田を引き摺り下ろそうとしていたのがバレて、谷川は当然魚を食べる側から外されてしまった。
その後釜に収まったのは、谷川を裏切った一ノ瀬だった。
今頃谷川が食べるはずだった魚一匹は、一ノ瀬のはらに収まっていることだろう。
「はぁ…早く家に帰りたい。助け、来ないのかなぁ…」
谷川は空腹を訴えるお腹をさすりながら、暗い海の方を見つめるのだった。
谷川が一人で浜辺で寝そべっている同時刻。
生徒たちが休息をとっている浜辺の端っこの方でいくつかの人影が近くの炎の光を受けてゆらゆらと揺れていた。
「話って何かな?浜田くん」
そう口にしたのは、榊原美久という生徒だった。
グラマーな体型に、整った容姿。
彩音さえいなければクラス一可愛かっただろうと言われることの多い女生徒である。
彼女は現在、浜田の呼び出しを受けてこの場所にいた。
「よくきたね、榊原さん」
浜田が、現れた榊原の姿を見てニヤリと笑う。
「え…?なに?」
気づけば浜田の取り巻きたちに周りを囲まれており、榊原は混乱する。
浜田が下卑た笑みを口元に浮かべながら、榊原の体を舐めるようにみた。
「やれやれ…本当は島崎さんの予定だったんだけど…まぁ、君でもいいや?」
「え?どういうこと?」
浜田の意図がわからず首を傾げる榊原。
そんな彼女に、浜田は言った。
「榊原。服を脱げ」
「へ…?」
「黙って僕に抱かれるんだ」
「はい…?」
「魚を食べられない側に行きたくはないだろう?ふふふ…」
「…っ」
怖気を感じて榊原は自分の体を庇うように抱く。
そんな彼女の体に、浜田の手がゆっくりと伸びていった。
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