第29話


「三日目にして一人目の死者か…」


「これは面白くなってきたな…」


「ククク…この浜田という男…面白い…数日前まで同じ教室で学んでいた同級生にここまで冷淡になれるとは…素質の塊だな」


「全くだ…この男にかけてよかった…」


「しかし、この佐久間という生徒もなかなかだな。追放された時点で野垂れ死ぬと思ったが……」


「どうやら生きる術を知っているようだな…」


「裏切り、支配、分裂……ククク…さあ、生徒たちよ。我々にもっと君たちのドラマを見せてくれたまえ」


「そろそろあれを投入するのか?」


「ああ…このままでは浜田という生徒の一強状態だからな…」


「さて、あれが投入されて彼らはどう行動するのか…」


「最初の犠牲者は誰になる?」


「力で敵わないあれにどう対処する?」


「知恵を振り絞れ。精一杯足掻いてみせろ…」


「人のいない無人島…助けは来ない…逃げ場はないぞ」


「今回はどんな結末が見られるんだ?今から楽しみだ…」


「さあ、皆さん…!どんどん賭けてください…最後まで生き残ると思われる生徒に…!彼らの織りなすショーはまだ始まったばかりですよ…!」




深夜。


北高校2年B組の生徒たちが流れ着いた無人島に、音もなく一隻の船が近づいてきた。


その船は、生徒たちが流れ着いた浜辺とは反対側の海岸に乗りつけ、何人もの影が島に降り立った。


彼らは船から巨大な檻のようなものを海岸へと下ろし、船に乗って静かにさっていった。


ピー…


ガシャン…


船が引き上げてしばらくして、遠隔操作で、鉄の檻が開かれる。


『グォオオオオ…』


低い唸り声をあげる黒い巨大な影が、檻の中から出て、森の中へと入っていった。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る