第12話 緊急会議

 その日の夜、アイシャの号令で放射線処理施設の集会所にはぎっしりとアングラのメンバーが集まっていた。


「一ヶ月後、Dブロックの天の門にスロープがかけられたら、聖者の行進が降りてくる」

 状況説明をするダンの声は緊張感をはらんでいた。


「そんなおっきなもん、どうやって止めるんだよ?」


「一度稼働したジャガーノートは半永久的に止まることはない」


「轢き潰されないように避けて歩けってか?」


「生体反応にはセンサーが働く。生きているものは追尾される」


「やれやれ、pest害虫駆除にここまでするとは。BWの奴ら、よっぽど暇なんだな」


「ただやられるのも癪だろう? かつてのペストは世界を席巻したんだぜ?」

 ダンは鋭く光る眼差しをアングラの面々に向けた。


「何か打つ手があるってのかい?」


「ああ。今までは監視カメラのラインを伝ってBWの奴らの末端端末に不正アクセスしてたんだが、おそらくこのルートはもうバレている。別途奴らのメインコンピューターに侵入するための経路が必要になる」


「おいおい、ダン。学のない俺らにもわかる言葉で喋ってくれよ」


「Dブロックの天の門が開いたら、スロープがかかる前に人海戦術で殴り込みをかける。狙いは指揮官の持ってる通信機器だ。これを媒体にしてアイシャがジャガーノートのアクセス権を盗みだし、起動プログラムを破壊する」


「カチコミか! わかりやすいな!」


「相手は軍隊だ。銃も持っている。効率の悪い特攻だ」


「何もしなけりゃ押しつぶされて死ぬのを待つだけなんだろ? そんなら最期にBWの豚どもの鼻をあかしてやったほうがおもしれぇや」

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