第4話
AWには様々な理由を抱えた者が落とされてきた。多くは癖の強い面々だったが、人間が一人で生きていくのにAWは過酷すぎた。
人々は生きるため結託した。
人が集まればルールが必要となる。AWの中にコミュニティができ、やがていくつかの勢力に別れた。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは「人間は社会的動物である」と述べたらしい。AWに落とされても社会性を失わなかった人々は、人間性を保っていたと言えるだろう。
このAWにおける最大勢力「
ダンは天の門を睨みつけていた視線をほどき、アイシャを目で追う。
20代後半かと思われる若い肢体はしなやかで黒ヒョウを彷彿させる。褐色の肌に燃えるような赤い髪。緑の瞳がダンを捉えた。
「ダン!」
嬉しそうに近づいてくるアイシャに、ダンは手を上げて応える。
「40過ぎのくたびれた研究者」ダンはそう自称していたが、アイシャがダンを見つめる目は恋する乙女のそれだった。
「ルーク、施設に戻ったら投石しといて。かなりメタンガス溜まってる」
「オッケー、アイシャ!」
ルークはサムズアップして走り去った。
「ダンの作ってくれた投石機で地面のガス抜きができるようになってから、確実に生存率が上がった」
「そいつは良かった」
「ねぇ、あたしたちの施設においでよ。ここより安全だよ? 浄水施設だってある」
アイシャはダンの腕に絡みつきながら誘った。
「馴れ合うのは好きじゃない」
ダンは頑なにアイシャの誘いを断り続けていた。
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