第40話 訓練場での死闘3
「門は破壊しました!……お逃げくださいレイモンド様!」
「……は?」
そう叫んだ魔術師。大きめのローブでフードを被っているので分からなかったが若い女の声だ。後ろをチラリと見ると確かに今の魔法攻撃で門が木端微塵に無くなっているんだが。
……何を言っている?既にお前らは総崩れで後は俺が殲滅するのは時間の問題だ。逃がしてやる
「……ぐっ!……」
唐突に女魔術師の腹から剣が生えた。……先程から彼女を盾の様にして隠れていた。セーンズに良く似た顔の若い騎士が彼女を後ろから突き刺したからだった。
「死ねアメリア!この恩知らずが!魔法の才能が役に立つからと父上が没落貴族の娘のお前を引き取って養子にしてやったのに!攻撃しろとの命令を聞かないどころか門を壊して逃がそうとまでしやがって!……うっ!……」
魔力で身体を強化して瞬時に近づきハルバードで騎士を突き刺した。
「これじゃあハルバードが使えないじゃないか……」
騎士に足を掛けハルバードを捻ったり引いたりしてみたが抜けそうもない。
「……うっ!……ぐっ!……うが~~~~~~~~~~~~~!!」
「煩せえなあ。……雑魚の分際で俺の邪魔ばかりしやがって……ふんっ!……」
刺されたまま悶絶するセンズリモドキごと力任せに振り上げ、地面に叩きつけて赤黒い染みにしてハルバードを使える状態に戻した。
「マンズ様!……一人息子のマンズ様までも……もうリーマン子爵家は終わりだ」
……おい!親よりもヤバい名前だった!……名乗られる前に始末して本当に良かった。
「……逃げて……レイ様……」
……まだ息があったのか。とても苦しいだろうに。だが何故俺を心配する?
俺は思わず女魔術師。いや、アメリアの傍らにひざまずくと、剣が刺さった侭の腹の近くに手を当てて治癒の効果がある魔力を流し始めた。孤児院の子供達を治したのと同じものだ。
俺は魔法のある世界に生まれて来たものの悲しきかな。才能が無いのか幾ら練習しても呪文で魔法を発動出来ない。苦肉の策として身体に満たした魔力をどの様に使いたいかを念じて呪文に似た効果を得る方法を編み出した。それでも残念ながら触れたものにしか魔法モドキを及ばせられないのだが。
「今だ!皆の者!陣形を立て直せ!……レイモンドを斃す以外に我らに生き残る道は無い!」
……不味いな。センズリモドキが隠していたのか?いつの間にやら敵は増員されていて100人は下らない。それでもなんとか頑張れば負ける気はしないのだが……今、治癒を止めてしまったらアメリアは。
「……レイ様!……今はどうか何もかも忘れて!……戦って生き残って!!」
いつの間にかアメリアのフードが外れていて、俺より少し上だが未だ幼い少女の顔が見えた。
「……リア!!」
……いつも孤児院の朝稽古に来ているリアじゃないか!
戦に果てた豪傑。今度は優しい世界で生きて行きたいものだが? うらの何某 @TKmad
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