第4話
「キシュ! キシュ! キシュ! キシュ!」
ざくぅ!
「いってえ!」
猛スピードで突っ込んできたバケモノアリの突進を、俺は死に物狂いで回避する。
インスタントなイエローブラッドの能力を失った凡人の俺は、バケモノアリのアゴで、背中をざっくりと切り裂かれた。
熱い! 背中が熱い! 背中からどくどくと血があふれでてくるのがわかる。
傷の深さはどれくらいだろうか……いや! そんなことを悠長に考えるヒマなんてない!!
「キシュ! キシュ! キシュ! キシュ!」
ざくぅ!
「あぐぅ!」
バケモノアリに、左の足首をザックリとかじられた俺は、惨めったらしく金属の床の上につっぷした。
あ、これは終わった。今度こそ終わった。
俺は、
頭の中に走馬灯がかけめぐる。
「
そう。こんな感じで、俺が泣きべそをかいているといつも
「うわ! すっごい怪我! まってて、コイツを片付けたらすぐに治療するから!」
「
俺は顔をあげる。そこには、バケモノアリに向かって拳銃を構えた
バンバンバン!
パス、パス、パス!
徹甲弾の銃弾は、難なくバケモノアリに食い込んだ。
それを確認した瞬間、
すると左手が、鮮やかな緑色のオーラにぽわんと包まれる。
「緑のLv4
「キ……シュ、キシュ……」
徹甲弾に仕込んでいた植物の種を、瞬時に生長させる『
植物をコントロールするグリーンブラット。しかも、高純度の『血』を授かった
「とどめ!」
上空5メートルまでジャンプした
ナイフの命中を確認した
すると、右手が黒みがかった青色に、左手はまばゆい黄金色に輝いた。
「青のLv2
「黄のLv2
ミシ……ミシミシミシ……パキョ!
バケモノアリは、ナイフの刺さった箇所からキレイに真っ二つになると、ピクリとも動かなくなった。
大気を操るブルーブラッドによる垂直落下と、イエローブラッドによる重量増加……『異なる色の血』の同時発動。とんでもない高等技術だ。
「ふう。お待たせ、
「うわ……結構傷が深いね。
俺は言われるがまま、制服を脱いで上半身裸になって、左足も裸足になった。
左手が、鮮やかな緑色のオーラにぽわんと包まれる。
「緑のLv4
背中と左足の痛みが急速に引いていく。
攻撃にも回復にも活用できるグリーンブラッドは、探索者に最も向いていると言われている。
さらにブルーブラッド、イエローブラッドの『血』も自在に操れる
「うん! 完全に傷口が塞がっている! 傷跡も残っていないし、もう安心だよ、
「あ、ありがとう。
俺は
……美少女で、優等生で、おまけに性格も最高。
俺と
そんな俺に、どうして
俺には、その理由はどうしても理解できないでいた。
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