第5話
「さてと。
アタシひとりじゃ、
俺は、血だらけでザックリと切り裂かれた、制服と左足の靴下と靴を身につけながら、
「その……実は、
俺は、
死因は、おそらくダンジョンが発生した際の鋭利な衝撃波によるモノ。
そして、ダンジョンに残った死体は、俺の目の前でバケモノアリに運び去られたということ。
「ええ! ということは、
「多分だけど、このダンジョンのマスターモンスターに食べられちゃったと思う。でもって残りの半分は、地上に残っていると思う」
「そっか……
そりゃそうだ。鼻つまみ者の嫌われ者だといっても幼馴染なんだ。小さい頃からの知り合いが死んだら誰だって気分が重くなる。
「
「ああ。俺も、かなり……っていうか大嫌いだったけど、死んじまうとやっぱり悲しいもんなんだな……これで幼稚園の時のクラスメイトは15人目か」
「うん……やっぱり、知ってる人を失うのは悲しいね」
◆◇◆
地球にダンジョンが出現するようになって12年。
俺と
最近は『血』の研究が進んで、人類の防衛能力もかなり向上したけれど、俺たちが5歳のときのダンジョン被害は、それはそれは凄惨なものだった。
なかでも俺たちが小さい頃に住んでいた
今でも、
……って、湿っぽい話はやめよう。
今はそんな感傷に浸っている場合ではない。俺たちは、今まさにダンジョンで遭難中なんだから。
なんとしても、ここから生還する方法を考えないと!
◆◇◆
考えを整理した
「Lv4のイエローブラッド『血』の持ち主の
「ヘンって? なにが?」
「探索科の課外実習で、マグニチュード4までの低難易度ダンジョン制圧に、何度か参加したことあるんだけどさ、通常のダンジョンって、地面の崩落や、火山の爆発……つまり、自然現象で発生するモノなの。
こんな鋼鉄製の壁、しかも発光機能もあるなんて……こんな人工的、しかも高度な文明を想わせるダンジョンなんて初めてだよ。きっと、前例もないんじゃないのかな?」
「え?? そうなの?」
ダンジョン発生=ノータイム全力避難の俺は、
「あの頑丈な
「だよな。マグニチュード8って、俺たちが住んでいた
そう、このダンジョンは、この日本に出現した、災害級の4つのダンジョン。
そして、富士山の中腹に突如できた『風穴のダンジョン』。
それらとおんなじ、マグニチュード8の災害級のダンジョンなんだ。
ちょっとにわかには信じられないけど。
「とにかく、学生がどうこうできるダンジョンじゃないよ!
って、ノーマルブラッドの俺は、マグニチュード1のダンジョンですら手も足もでないけどな!」
そう言いながら、俺は、
「えー! そんなことないと思うんだけどなぁ。
ん? なんだ??
いや、これは
その証拠に、
「え……なに? これってホログラムか何か?」
俺は、後ろを振り向いた。
そこには、
「ぷわぁん、ぱかぱーん! おめでとーございまーす!!
ちっちゃいメダルを200枚集めたごほうびとして、この『いばらのムチ』をあげちゃうよん!」
え? どういうこと??
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