第2話 両親のヒミツとレヴィーのヒミツ

 食事が済んだら私たちは、冒険者ギルドに確認しに行くことになり、お父様と各種族の代表で各国に交渉を開始することになった。


「もう少し大きくなってから話そうと思っていたが、この際だからレヴィーに今話してしまうか」


「「「そうですね(わね)」」」


「?」


 父親からの提案に母親と兄二人は同意し、まだ何かあるのかと意味のわからないレヴィーは首をかしげた。


「「「「!!」」」」


 母親は、そんなレヴィーの可愛らしい仕草に平静を装い、いつも通りの笑顔のままだが、父親と兄二人は悶え破顔した。


「お父様、お兄様たち。素敵なお顔が残念な感じになられてますよ。

早く正気に戻って話の続きをしてくださいな」


 レヴィーは、よくあることなので呆れつつ、早く話すようにと催促した。


「すまん。あまりにもレヴィーが可愛すぎるのでな。

実は、私とミカエルは、この世界とは違う世界で生きていた記憶を持っている転生者というやつなんだ。

こちらの大陸に来て初めて知ったのだが、私たちのような転生者がたまに現れるらしいのだ」


「私もサターナ国に来て、ミルシェット王国にはなかった前世で見慣れた物や料理が当たり前のようにあって感動したわ」


「!!」


 両親が転生者だと聞いて、レヴィーは驚いた顔をした。

 なぜかというとレヴィーもまた前世の記憶のある転生者だったからだ。


 お母様が言うには、ミルシェット王国の料理は塩味だけで味が薄く、甘味も無駄に砂糖を使った頭痛がするほどの激甘らしい。


「いきなりこんな話をされてもやはり驚くよね」


「私たちも初めて聞かされた時は驚いたからな」


 レヴィーの驚いた顔を見て兄二人がそう言った。


「お父様とお母様も転生者だったのですね。

実は私も転生者なんです。

神様から過去にも転生者がいるから困らないように日本と同じ食べ物や物がある大陸の方の種族に転生させてあげると言われました。

生まれてから困ることも混乱もはなかったのですが、まさか両親も転生者だとは思いませんでした」


「「「!!」」」


 レヴィーの言葉に両親と兄たちが今度は驚いた顔をした。


「レヴィーも前世は日本人だったのね。私は二〇一〇年、ルシファーは二〇〇〇年に日本で交通事故にあって死にこちらに転生してきたのだけど、レヴィーは?」


 一番最初に正気に戻ったお母様がいつ亡くなったか質問をしてきた。


「私は、二〇二三年です。元々、体は弱かく入退院を繰り返してまして、二〇一九年から私が死んだあとも現在進行形で病気が世界中で大流行したのです。

感染者や死者が急増したり、減ったりの繰り返しで、世界中で数多くの感染者がおり、沢山の方が亡くなられており、入院していた病院で集団感染が発生し、私も院内感染して死にました」


 前世では両親より先に死んでしまったし、病弱だったので、親孝行もできず、親不孝な娘でした。


 今世は、お父様が居るので、またも親より先にという可能性もあり得る。


 私は家族に自分の死因を説明しながらそんなことを考えていた。


 ここは異世界だし、魔法があるから同じような病気が確認されても治せちゃうかもしれないけどね。


「過去にもいるとはいえ、元日本人がすごく身近に三人も集まるなんて不思議だね。

転生者は、亜人族の大陸にしか居ないらしいからミルシェット王国生まれの私とミカエルは転生者としては、イレギュラーなんだろうけどね」


 そうだよね。人間国側の大陸にもお父様とお母様以外に転生者が居れば、目立ちたくなかったとかでなければ、食事事情や魔導具の開発や発展など生活水準が豊かになるような見覚えのある便利な物であちらの大陸も溢れているはず。


 なので、お父様の言う通り、お父様たちが例外的な転生者な可能性がありますね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔王と剣姫の末娘は溺愛される 紅 蓮也 @-T2Ya-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ