第3話、木漏れ日

初冬の昼下がり、木漏れ陽が差し込み彩褪せた銀杏の葉が朽ちた残骸である落ち葉

それとは対照的に生への活力を照らしだす心地よい風と陽光

快晴とは空がこんなにも薄青彩だとは気が付かなかった風景

澱んだ川には亀も鯉もいるが釣り人は何を釣っているのか皆目、見当もつかない

釣果が鯉なら食べれないのに私には理解出来ない趣味の領域である

整備されていない川沿いなので木が鬱蒼と繁茂し藪蚊も多い

私はこれから毎日、自分自身のリハビリの為にこの散歩道を通る事になる

途中で見る将棋に興じている高齢者の集団やリハビリと思える散歩をしている

高齢の女性、私は病気になってから歩くのが格段に遅くなった

家では普通に動けるまで回復したが外に出れば私の動きは遅くなる

おそらく4日間の寝たきり生活により脚の筋力が落ちた事と

やはり、うつ病の影響かと推論する。

私は妻と一緒にその散歩道を歩いていた

空がこんな彩をしていたとは驚きであった

そして木々の枝先には木独自の個性を表現するかの如く

様々なオブジェを作りだしている


私が今日見た初冬の陽光を浴びた風景や空

見る行為は眼に映るだけでは記憶に残らず

覚えてないのは見てないとの同じであった事を自覚する


長い年月をかけて奪われ失った自尊心

抗うつ薬服薬4日目なのでまだ効果はなし

身体変化があったのは異常な眠さだけである

家では普通に動けるのに外で歩くのが遅くなった

妻に何度も立ち止まってもらい私の遅い足取りに合わせてもらった

途中で3回もベンチに二人で座り休憩をした


今の私は情けない事にこんな状態である

だから毎日、散歩しようと思ったのは足腰のリハビリの為である

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