最終章 2
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ヌーナ大陸の最北端に鎮座する霊峰タカチホ、大陸屈指の高所ゆえの厳しい気候に支配され、まるで一切の生命の存在を許さぬかのように静寂に包まれた中腹で、しかし抗いを続ける二つの
一方は地表を白銀に染める積雪に溶け込んだ純白の、他方は
バラトリプル教国の教都クシナガラに滞在していた二人は、正式に婚姻を交わしたラーマとシータに見送られ、
始めは剥き出しの大地が延々と続いた山肌も、標高が増すに連れて徐々に雪の中へと隠れていき、
教国は独立前の宗教都市であった時代から、巡礼のための霊峰の保全を責務としていたのだが、それは精々が登山道の整備された辺りまでのことであり、ここは既に禁足地を越えて久しかった。
なお、タカチホは四大聖地よりも神聖な場所とされている。たとえ麓に近い場所であっても立ち入りには厳しい制限があり、特別に許可を受けた教徒のみが足を踏み入れることを許されていた。
天候を選びながらの出立の甲斐もあり、
原則としてタカチホへの入山が禁止されているのは、何も神聖であるというだけではなく、この過酷な環境によるところも大きい。所詮は人の身では頂を目指すことなど不可能であり、
しかし、頂上へ向かう二人の足取りは軽く、吐く息こそ雪結晶のように白色ではあるが、
『
熱風が吹き
そして、
『
大地が物体を引き付ける力を中和すると同時に、局所的な気流操作により対象を宙へと浮かび上がらせる、風と土のマイナの複合高等魔法である。
正確を
ミストリアの秘術と称するに相応しい超然とした魔法により、二人は常識を遥かに超える速度で山頂へと向かっていた。四方に広がる恐ろしくも美しい風景が、まるで招き入れるかのごとく流れ過ぎていく。
今や遠くに霞んでしまった教都の街並みを眼下に望みながら、なぜ登山の装備や食糧の備蓄が不要であったかを理解した。
二人を心配したラーマ夫妻、そしてアナン老師たちからも盛んに
恐らくは、
しかし、そのとき一抹の不安が頭を
思わず
その言葉を信じた……いや、信じるしかなかったのだが、
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