第三章 8-1
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「一度、うちの実家に寄ってみてはどうッスかね」
翌朝、サールナートを発った一行は、
ついに霊峰タカチホを望むことが出来たのだ。彼女は感動に打ち震えると同時に、間もなくこの旅が終焉を迎えることを実感した。
思わず傍らに立つミストリアを一瞥する。既に過去の記憶で観ているのか、特に感慨深い様子は見受けられない。本当はすぐにでも登頂すべきなのかも知れないが、自分たちには先に片付けるべきことがあった。
開祖シャーキヤが入滅した地にして、
一方で、偽の
それまでに正体を暴かねば教国民の信仰は歪められ、次期座長はダイバ老師のものとなる。ラーマの一族は冷遇され、シータとの仲も引き裂かれてしまうことだろう。
時間は限られているが、無闇に動いても状況は覆らない。一行は
まずはミストリアから逗留先のダイバ老師の寺院を襲撃……もとい、訪問してはどうかという案が出た。確かにそれが一番手っ取り早いが、王国との間に深刻な国際問題が生じかねない。
なお、ここで危惧されることは、教国が王国に対して内政干渉を抗議するのではなく、逆に王国が天人地姫の名を騙り、その御手を
次にシータからは、座長であるカショウ老師を頼るという案が出た。現行で最大の権威を誇り、恐らくはダイバ老師の暴走を唯一止められる人物であるからだ。
しかし、カショウ老師は高齢で病床に
これといって有効な手立てが思い浮かばず、議論は膠着状態に陥っていたが、そこで口を開いたのがラーマであった。そのあまりにも脳天気な提案に対し、
彼の実家であるイクシュヴァーク家は、現状で唯一、アナン老師を支持する有力なクシャトリヤである。つまりは彼女たちと目指す
しかも、彼の父親は結集の評議員でもあるらしい。いざとなれば、偽者を
思いがけぬ突破口を得た一行は、その日は旅宿で一夜を明かし、翌朝にイクシュヴァーク家の門を叩くこととなるのであった。
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