第三章 3-1
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「あなたのプラナの捉え方には、根本的な誤りがあるのよ」
山道から少し外れた場所に広場を見つけ、いつものように野営の準備をした二人は、連日の山登りによる疲れもあって早めの就寝となった。
翌朝、道中で採取した食材で軽い朝食を済ませると、ミストリアは教鞭を
遥か古の時代、世界の創世期より、魔力は
あるとき、天上より至高の神々……現代にまで崇め奉られている
いや、より正確を
こうしてマイナを介することで、間接的に魔力を感知、利用する技術が確立された。これが今日、魔法と呼ばれるものである。
その後の魔法研究の過程で、マイナと対になるプラナの存在が提唱された。これは自然界の魔力に対し、術者自身が包有する魔力とされており、マイナから放出される魔力を制御する役割を担うとされている。
ここまでは空属性の修練にあたり、
ミストリア曰く、マイナが魔力を内包した目に見えない微小な物質であるのに対し、プラナとは実体なきもの、因子による力の変遷の概念そのものである。
両者を対比して認識すること自体が誤りの元であり、それがプラナの理解を狭める限定要因となってしまっているのだ。
マイナの先駆物質は、魔力と同様に自然界に普遍的に存在している。そこに因子が結び付き、魔力を取り込んでマイナへと変ずるのだが、実は因子が取り込むものは魔力だけではないという。
では、他に何を取り込むのか。それは生物の活動を維持する力、身体や精神を包括する生命力である。そして、これが因子を介してマイナに吸収され、活性化したものをプラナと呼んでいるに過ぎないのだ。
マイナとプラナの同一性を唱える仮説は以前からあった。しかし、それは根拠なき暴論、異端な理論と
それにしても、いったいこの因子は何なのだろう。
しかし、魔力はともかく生命力ともなると穏やかな話ではない。あくまで主とするのは魔力であり、生命力は均衡を失した際の代替的なものらしいが、一方で過度な魔法の行使により、身体の著しい虚脱感、意識の喪失なども報告されている。
自分たちは何も確かなことを知らぬまま、因子に生命力を吸い取られ、魔法を行使させられているのだとしたら……果たして、それが意味するものとは何なのか。
まるで身中を得体の知れぬ存在が
それは、未知に対する潜在的な恐怖そのものであった。
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