第二章 4-4
「もう、用意は整ったようじゃな」
初めて邸宅にやって来たときと変わりなく、馬車が停められた正門に現れた彼女の姿を認めて、サナリエルが
それは、明確な意思表示であった。必要な施しは甘んじて受けるが、それ以外は決して求めぬという、些か都合が良すぎる
当然のことながら、彼女がプラナを消滅させる力を会得し、チョウセンの
チョウセンは修練所に寝かせてきた。プラナを失って衰弱しているが、先の事件よりかは幾分ましだろう。もはや少女を縛るものは目前にしかないと確信している。
「左様に怖い顔をせずとも約束は違えぬ。あやつの罪状の一切を抹消し、ここを出るときには相応の支援もしよう」
皇女は心外とでも言うように、両手を広げて大袈裟に
一体どれだけの経験を積めば、このような深謀遠慮に至れるのだろう。一体どれほどの節義があれば、このように無慈悲な差配が出来るのだろう。
しかし、不思議と憤りはなかった。未だ
ここには今、彼女と皇女しかいない。
黙したまま皇女の瞳を見つめた。そこには深淵なる闇が潜んでいる。その正体はまだ分からない。だが、いつか必ず雌雄を決する日が来ることを予感させた。
「
皇女は再び
しかし、やられっ放しというのも癪に触る。せっかく遠慮は要らぬと言われたのだから、少しはやり返さないと気が済まない。彼女は仄かに笑みを浮かべながら、万感の想いを込めてその心情を
「ありがとう、サニー」
時に、口は意思に反して
やがて、皇女の指示により、
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