第一章 別離
第一章 0
「じゃあ、ここで別れましょう。私の娘によろしくね」
そうして私は振り返らずに歩いていく。残された彼女はきっと私の
あれは何代前の当主であったか、今となってはもう顔も名前も思い出せない。その場の情景だけが朧気ながらに記憶の片隅に残っているのだが、それもまた同じものではないのかも知れない。殆どそこだけはいつも変わりがないからだ。
諸侯はおろか平民と比較しても、身体的にも魔術的にも決して優れてはいない彼女たちでは、この辺りまでが限界なのだろう。
記憶と記録が遺す限りでは、王国内で約半分、その先は長くとも帝国までだ。教国から先ともなればもう数えるほどしかいなかった。しかし、何事にも例外というものは存在し、霊峰タカチホまで付いてきてくれた彼女もいた。
いま考えてみても彼女はとても強かった。きっと
私と並び立つことが彼女の本懐であったとするならば、それが成就したことを
これは繰り返される運命の輪。私の
しかし、必ず終わりはやってくる。そう、これが私の最後の旅なのだから……。
第一章 別離
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます