○紫さん用あらすじ(2023年3月2日)

◆起(転への伏線を張りたい)

 決勝前のインタビュー。グリードが調子に乗っている。

 インタビュアー「最近はまさかの短剣使いが成績を伸ばしていますがどう思いますか?」グリード「そんなの偶然! オレ様が勝つに決まっている。マインゴーシュなんて盾付きの中途半端な短剣でオレ様の大剣に叶うはずがない!」

 それを見ているトウヤ。

 トウヤは妹の治療費を稼ぐために決勝の賞金が必要だった。

それからグリードはトウヤが勝てないように防御力を上げ続けている。

 トウヤは絶対にグリードの防御力を突破しなければならない。「今の武器じゃ到底かなわない」と武器の育成を模索する。

 インタビュー会場から出てポイント稼ぎのためにフィールドに出て奇襲を受ける。相手はチンピラプレイヤーでトウヤはすぐに撃退する【ゲーム内のルール説明程度でサラッと書く】

 チンピラを倒した瞬間、背後に気配を感じて応戦する。ユキノによる奇襲だった。

 それはここ最近、ゲーム内では最弱と言われる≪マインゴーシュと言われる短剣≫を両手に装備しのし上がってきた女性プレイヤーだった。

 マインゴーシュは片手用の短剣で相手の攻撃を受け流せるよう柄に籠状の盾が備わっている短剣【←重要】

 ポイントを稼ぐために普段なら人助けなんてしないトウヤだが、彼女が妹にどこか似ていたため助けてしまう。

 ユキノは自分の力でこのゲームで一番にならないといけないため、助けられたことに激怒と劣等感を覚えて、トウヤに攻撃し、キツくあたってしまいトウヤの目の前から姿を消す。その際に「絶対に優勝して私の強さを証明する」と息巻いていなくなる。


◆承(ユキノはトウヤの≪強さ≫の秘密を知りたい)


 トウヤはグリードを倒すために過去のグリードの戦闘映像を見て、武器の研究をしていた。

 選択肢は相手の防御力を下げる≪軟化スキル≫を剣に塗り込むか、特殊な鋼材を取りに行って強化するかの二択になった。

 ≪軟化スキル≫は攻撃力が著しく下がってしまうが、連続攻撃ができれば相手の防御力を下げることができる。しかしこれではそもそもダメージが通りづらくなり本末転倒。完全に≪守りのサポートスキル≫だ。自分以外がすべて敵、という世界観のこのゲームでは完全に使い道がなかった。

 よって入手難易度は上がるが≪鋼材≫を取りに行って武器を強化することにした。だがその鋼材を手に入れるには≪鍛冶屋≫が持つスキルが必要だった。

 近くにいた女鍛冶屋スミスが話に乗ってくる。

 聞けばその鍛冶屋はロングソードを強化する素材が眠る場所を知っていて案内するという。誰も信用できないこの世界で人の案内を受けるのはリスクがあると断るトウヤだが、女鍛冶屋スミスは自分のステータスを公開。戦闘能力はそれなりに高いがポイントが少ないため、仮に負けても決勝進出には支障がないと判断。

 女鍛冶屋スミスは「自分は以前、あのグリードと戦ったことがある。とても勝てる相手じゃなかった。多分君のロングソードでも無理だろう」と念を押してくる。

 女鍛冶屋スミスと行動を共にすることを決意するトウヤ。約束の日時に街の入り口で合流することに。


 そこに向かう途中、トウヤはユキノと街で再び遭遇する。ユキノは不機嫌そうにいなくなろうとするが、トウヤが「話がある」と言う。トウヤは「君はどうしてそんな無茶な戦い方をするのか」と聞く。最初の戦いで、ユキノの剣に「賞金以上の何か」を感じたから。

 ユキノは「なぜ私に興味があるのか」と聞く。

 トウヤは「どうしても優勝賞金が必要だから」と言う。ユキノも「私は……強くなる必要がある。……いつかこの短剣でアイツを……なんでもないわ。次にフィールドで見かけたら後ろから刺すから。せいぜい気をつけることね」と言いトウヤと別れログアウトする。


 女鍛冶屋スミスとの行動。

 その鋼材がある場所はPVPも可能かつモンスターも出現するエリアだった。どうにか鋼材を手に入れた瞬間、鍛冶屋が襲ってくる。

 女鍛冶屋スミスは実は≪テイマー≫でモンスターを操る能力を持っていた。

 トウヤは「俺を倒してもお前は決勝に進めない。どうしてこんなことをする?」と聞くと「私の目的はお前の武器を破壊すること。……そうすればグリードから大金が貰える。そういう約束なんだ」

 戦いの末、トウヤは勝利する。女鍛冶屋スミスに「どうして金が必要だったのか」と聞くと女鍛冶屋スミスは「私は貧しい海外から来た。地元に学校を作りたかった」と言う。そしてトウヤも目的を話すと「私以外にも人のためにこのゲームをしているやつがいてちょっと嬉しいよ」と言い、ロングソードは無事に強化された。

 直後グリードが奇襲する。スミスに強化してもらったロングソードで戦うもそれでもグリードの防御力にはかなわず二度目の敗北し、優勝できないかもと思い絶望する。

 トウヤはこれ以上どうやって剣を強くするか悩みながらも決勝へ向かう。


 ユキノの現実視点(三人称一元視点)。

 中学の時に病気で母親を亡くしてふさぎ込みがちになった。周りが気を使って距離を置いてくる中で、高校に進学すればその人間関係は続いてしまう。それが嫌で違う地域へ進学した。

 そこでは以前の明るい自分に戻ることができたが、それを妬まれて《池田》という女子生徒からいじめにあってしまう。隠し撮りをされたり机の中を水浸しにされたりの被害を受ける。

 そんなソード・デュエルが雪乃の居場所になっていた。雪乃には唯一友達がいた。学校近くの図書館で知り合った。雪乃も彼女にだけは心を許していた。《友達》の誘いで《ソード・デュエル》を始める。

 初心者だった雪乃は最初はPVPを避けて《非対人プレイヤー》としてモンスターばかりが出現するポイントで狩りをして楽しんでいた。

 そして放課後もゲームのことを話せる唯一の友達だった。だがある友達から連絡が来る。『池田って人に突然絡まれて嫌がらせを受けた。あの人たちと知り合いなの?』

《友達》も池田たちの嫌がらせを受けていた(かなりひどい内容にする)。雪乃の怒りは頂点に達する。

 このままでは自分の周りに出来た大切な物(新しい環境や友達)が奪われ続けてしまう。

 自分にならともかく《友達》にいやがらせをするのはどういうことだと、抗議するが池田には「生意気」と言われ、首元の《ロケット(母親との写真)》のチェーンを千切られてしまう。雪乃の《殺意》は明確なものになった瞬間だった。

 別の場所に行っても池田は付きまとってくるかもしれない。新しい場所に行っても、新しい友達ができてもこの繰り返しかもしれない。不安は《元》から絶たないといけない。

 雪乃は金物店で池田を《倒す》ための包丁を買う(購入した描写自体は殺人未遂の直前で明かす)。高校生が購入する理由としても「母親がいないから料理をしなければならない」と言い訳ができる。

 それと時を同じくして《マインゴーシュ》を手に入れる。それが運命だと感じた雪乃は殺意の剣に磨き上げるため、そして《殺人者》になるかもしれない自分から《友達》を守るべく、リアルでの交流は経ち、ゲームでもPVPへと移行する。

 包丁を扱うための練習の剣は《最弱の剣》と言われていたが、雪乃には関係なかった。包丁に近い形状のこの剣を使いこなし、この《第十五シーズン》で優勝する。そうすれば池田を《暗殺》する《暗殺者》としての強さを手に入れることができると思う。


 予選最終日。ゲーム内フィールドは雪山。

 現時点でのスコアポイントのトップは《トウヤ》《ユキノ》の順番である。

 ユキノからの不意打ちを受けるが彼女の初撃を躱して戦闘になる。

 最初の一撃を決めたほうが有利になると言ってもいい試合だった。しかしユキノのスタイルは暗殺型であるため、初撃を逃して若干不利。

 それでも果敢に攻めてトウヤを追い詰めるも一歩届かない。一撃さえ当たればいいのに、ギリギリのところでかわしてくる。迷いがない。

 そんな時フィールドのトラップ《雪崩》が発動し、巻き込まれて僻地へ。

 オンボロの小屋に逃げ込む。

 暖炉に薪をくべて暖をとるも寒い。毛布が一枚ある。それで身を寄せ合う。

 ユキノは「今すぐにでもここで戦って決着をつけよう」と言い出す。しかしトウヤは「じゃあ最後に話ぐらいさせてくれてもいいんじゃないか?」

ユキノ「最後?」トウヤ「俺には時間がない。この今シーズンで賞金が手に入らないと戦っている意味はない」

ユキノ「それが強さの秘密なの? 理由は?」

 トウヤも自分は例の《毒物散布テロ事件》の被害者で両親は被害をうけ、妹が重症だと語る。雪乃は驚く。

「どうしたら……強くなれるの? どうしたらあなたみたいに、強く、気持ちをもてるの?」と雪乃はとう。

 それにトウヤは「ただ一歩ずつ進むだけだよ。現実を受け入れて出来ることを探して、可能性に向かって積み上げる。それだけだと思う」


 ユキノはトウヤの強さを知り、自分もするべきことをするためにログアウトする。

 ユキノは池田を呼び出して買った包丁で殺害しようとしていた。

 トウヤは雪山の小屋に残された日記を見て、ユキノの真相を知る。

 たまたまその現場が地元の公園だったから、トウヤはユキノを探して説得を始める。

 ユキノも今まで抑え込んでいたイジメに対する『やめて』という感情を言えなかった自分の弱さを吐露する。

 トウヤが心の支えになってくれることを知って、ユキノは持ってきた包丁をトウヤに託す。

 トウヤは拳を突き出し、ユキノもそれに応えユキノの気持ちの変化を察する。


◆転(決勝)

 残ったメンバーはトウヤ、ユキノ、グリード。

 荒野にランダムでポップする。偶然にもトウヤとユキノは近い位置からスタートする。

 互いのアラートがなる位置からのスタートでも、ユキノは「もう私の目的は果たした。今日の決勝のログインは……トウヤにお返しがしたい。そのためだけに来た」

 ユキノはトウヤに「打開策は思いついたか」と聞くも「ない」と答える。

 ユキノは「こんな無鉄砲なやつには最初から勝てなかったかも」と呆れ、作戦を提案する。

 作戦を聞いて驚くトウヤ。でもユキノはそれが私に出来ることだからと言う。

 グリードと遭遇する。

 グリードは二度も自分に負けたトウヤと、短剣のユキノを見てあざ笑う。

 戦闘が始まる。

 二対一の戦闘。トウヤが正面から切り込んで、ユキノが得意の背後からの暗殺スタイルでグリードを追いやる。

 トウヤの武器は少しだけ強くなっていて、グリードも大剣でガードするようになる。

 トウヤが攻撃し、グリードの注意を引き、ユキノが背後や懐に入り込み連撃を繰り出す。

 ヒットし続けるも、グリードの防御は崩れない。

 グリードが油断した時に、トウヤの一撃に手応えが生まれる。

 (ここで作戦の開示)

 ユキノのマインゴーシュには《軟化スキル》がセットされていた。そのせいでせっかくの攻撃力を落とすことになったが、それはトウヤのロングソードを通すための布石。

 よく見ると《軟化スキル》のエフェクトがずっと発生していたが、マイナースキルだったので、グリードもそれには気づかなかった。

 さらに本気になるグリードの一撃をトウヤやユキノも受けてしまうも、ユキノの攻撃で防御力の下がったグリードに徐々にダメージが入り始める。三者HPゲージが赤くなり残り一ドット。

 渾身の一撃をグリードに回避されて、グリードの大剣がトウヤの背後に振り下ろされる。

 必中と思われたが、ユキノがトウヤの前に躍り出ると、両方のマインゴーシュの《ガード》を使い、トウヤを守る。その瞬間にユキノの武器は破壊され、事実上の敗北となる。

 ユキノが作ってくれた最後の一瞬をトウヤは見事決めて、グリードを破り優勝する。

 


◆結

 年が明けてシーズン十六に突入した酒場。有名になった二人を何処か遠巻きに見るギャラリーの視線。決勝の結果はグリードが退場したあとにフィールド半径が0になりタイムオーバー。決勝進出時のランクポイントが上だったトウヤの自動優勝になった。

 ユキノは「結局トウヤを後ろから刺すことは出来なかったなぁ」という。トウヤは「物騒だな」という。

 年末にトウヤの妹は海外へ。無事に治療は成功してしばらくは向こうで経過観察。

 二人とも《PVPモード》をやる必要がなくなったのにどうしてやっているか?

 以下の理由。

 酒場を出てランクポイントを稼ぎに行く二人。

 トウヤは「これからもよろしくな。《ライバル》さん」と剣を握った拳を突き出す。ユキノもそれに答えるようにマインゴーシュを差し出す。切っ先がカンッ! と小気味いい音を立てた。

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23年ビリビリするやつのメモ あお @Thanatos_ao

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