ペンギンと飛行機

文月イツキ

ペンギンと飛行機

 ペンギンが飛んでる。


 小さな翼で、さも当然のように、日の下をおよぐ。アクリルで創られた偽りの空だというのに、大空を羽ばたくように、悠々と空を切っているつもりの翼は愚かしくも小さな波を立てる。

 少年は無言で、それを羨ましそう恨めしそうに見上げている。


 空を見上げると、二条の飛行機雲。


 いずれ迫り来る入道雲にかき消されると知りながらも、時が経ち霞のように消えていく運命さだめと知りながらも、それは、必死に足跡を残そうと絶え間なく精一杯、飛行機の後を追っている。

 それをなんとなく、少女は火が付いた煙草でなぞってみる。

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ペンギンと飛行機 文月イツキ @0513toma

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