最高に楽し気な日常に祝福を
最近、私の学校までの足取りが明らかに軽くなった。
その代わりと言うほどのことじゃないけど授業には全くと言っていいほど集中していない。
隣のクラスで授業を受けている識くんのことを考えてしまう。
ただの友達だったときにどんな態度で接していたか分からないくらい識に対する私の感情が変わってしまった。
友達の一人だったはずなのに……明らかに識くんが私の特別になっている。
最近、俺の学校に向かう足取りは軽い。
なぜなら夕喜に会えるから。
彼女の顔を見れると分かっただけでめっちゃ意味の分からない数学の授業も、呪文を唱える英語教師にも対抗する元気が出てくる。
休み時間、隣のクラスの友達のところに行くついでに彼女の顔を見る。
その時に小さく手を振ってくれるのが可愛い。
……けれども俺がチキン過ぎて気づいていない振りをしてしまう。
何をやっているのか……。
識くんと同じクラスになれなくても識くんをほぼ毎日見ることの出来る幸せを感じている。
彼はこのクラスにいる友達に会いに時々この教室に来ることがある。
その時に小さく手を振る。
彼は気づいていないみたいだけれどもそれでいい。
まさかこんなことをしていると知られたら恥ずかしくてもう顔を見せられない。
そして、いつも通り私のクラスにやってきた彼に向かって小さく手を振ってみる。
夕喜のことを考えてしまっていたら授業が終わってしまった。
今日、朝からずっと考えていた。
今日こそは夕喜と一緒に帰りたいと。
夕喜と同じ部活の人に予定を聞き出した。
そして今日部活がないと知っていた。
人づてに聞くというチキンでストーカーなことをしたとい自覚はある。
でもこうでもしないと俺は誘えない自信があった。
今日、識くんに『一緒に帰らないか』と誘われた。
もちろんいいですよって答えたけれども良く話を聞いてみれば妹さんの誕生日プレゼントを見繕って欲しいって話らしい。
久しぶりに放課後、一緒にお出かけをっていうお誘いかと思ったら……ただの女友達代表扱いだった。
それはそれで嬉しいけれどもそうじゃない……。
「そうだったね~。そんなこともあったね~」
「もう俺らが高校生だったのって3年も前だったんだもんね……。時の流れって早いわ~」
「識くん、おじいちゃんみたい~」
「じゃあ同い年の夕喜はおばあちゃんだ。夕喜おばあちゃん」
「痛っ。ごめんって。いつも麗しいですよ。……夕喜はおはようからおやすみまで可愛いよ」
「そう……。ありがと。それ言ったら識くんは……おはようからおやすみまでは……かっこよくないかなぁ……」
初恋の私よ、俺よ、永遠なれ 牛寺光 @511150380031011075
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます