Q.E.D.?——澪

 散々お互いの思いの丈を確かめ合ったその後、18:42。

 夕日を背に駅まで二人で向かっていた。誰が見ているかわかったものではないので、てをつなぎこそしないが、肩を寄せ合って歩いていた。 


「そういえば先輩、」

「二人でいるときは『向日葵』って読んで、澪」

「……ちょっと慣れるまで時間がかかりそうです」


 下の名前で呼び合うのはまだ澪にとっては照れ臭かった。


 この際、隠し事は無しにしたかったから、聞きたいことを聞いておこうと思った。


「で、話の続きなんですけど、トラックに轢かれたり、ホームレスに刺されたりしてましたよね?」

「うん、そうね! それがどうかしたの?」


 朗らかな笑顔で応えるのはいつも通りといえばいつも通りだったが、自分の死因の話を朗らかに話されるとちょっと怖い。


「自殺してたって話でしたけど」

「そうだよ? そんなのちょっとお願いしたらやってくれるよ」


 ちょっとお願いしたら、人を殺すだろうか。実行すれば大罪人、犯罪者になってしまうのに。


「そんなわけないじゃないですか。冗談はよしてくださいよ」

「う〜ん、確かに冗談のままの方が良いかもね、そうしよう! そういうことにしよう! 澪」


 背筋が凍る気分だ。人に言えないような方法で脅し、もといお願いしたということか。


「まあ、後々話せるようになったら絶対話すよ」


 いつか、話してくれるなら、それで良いのだろうか。これからの生活に不穏な空気が流れ始めたような気がしたが、今は前を向いて生きることにした。


「それと、澪。多分明日から友達ができ始めると思うよ。男ならね」


 神のようなことを言うな、と澪は思った。心当たりはないと言われたが、時間をループさせているのも彼女なのではないだろうかと、澪は思った。

 向日葵の目は全てを吸い込んでしまいそうな黒だった。

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n本目の向日葵——タイムループで救おうとした先輩(ギャル)の様子がどうにもおかしい—— 藤翔(ふじかける) @fujikakeru

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