第46話 変わらない夢

「どうした?勇人」


ウルの引く荷馬車からぼんやりと遠ざかるクレストンの街を眺めていたら、バーリに声をかけられる。


「ん、いや。10日間程しかいなかったけど、色んな事があったなーって思ってさ」


英雄祭でのSランクアイテム獲得に、武道大会。

アーリィの誘拐事件と、その際の魔人との戦い。

そしてウロンとの別れ。


本当に色々とあった。


「ふーん」


興味を失ったのか、バーリは隣に座るウーニャの膝を枕にしてごろんと寝転がる。

堂々と人前でいちゃつくバーリに軽く殺意を覚えそうだ。


まったく。

もう少し人目を気にしろよな。


因みに今乗っている荷馬車は、大会の優勝賞金で購入した物だ。

大会自体は中止という形で終わってしまったが、一応決勝まで進んでいた為、俺とルディークのダブル優勝という扱いで賞金の半分が俺の元に転がり込んできていた。

お陰で、懸念していた資金難も一気に解消だ。


≪本当によろしいのですか? ≫


再び遠ざかるクレストンをぼーっと眺めていると、今度はアバターに声をかけられる。


何がだ?


≪マスターの件です≫


ああ、またその話か。

そんなの当たり前だろ?

ウロンには危ない所を救って貰ってるんだ。


≪ですが元々はマスターのミスが原因で――≫


俺はこの世界での生活、気に入ってるぜ。


ウロンと出会ってから、今日まで波乱万象だったと言っていい。

嫌な事辛い事もあったけど、なんだかんだで、退屈の無いこの異世界生活を俺は満喫している。

だからこの世界に連れて来られた事を、俺は恨んだりしてはいない。


大体その事は、アーリィの居場所を探して貰う事で全部チャラになったしな。


≪……≫


ウロンに命を助けてもらった。

だから今度は俺がウロンを助ける。

それだけだ。


≪ありがとう……ございます……≫


ウロンはまだ消滅していない。


あの時。

崩れ行くウロンの体を受け止めようと、俺は咄嗟に手を伸ばした。

俺の手がウロンの消えゆく魂に触れた瞬間、アバターが機転を利かしウロンの魂を取り込み保護したのだ。


だから、ウロンはまだ生きている。


但しウロンの魂は崩壊寸であったため、意識は不明状態だ。

俺の魔力を使って何とか崩壊を押し留めてはいるが、今のままではウロンが目覚めることは決して無い。


神器……


かつて神がこの世界の誕生を祝し、地上に落としたとされる二つの神器。

その神器に宿る神の魔力のみがウロンの魂を再生させ、目覚めさせる事が出来る唯一の方法だ。


そしてその神器の内一つは、魔王の体内にある。

つまり、今までと目的は何一つ変わらないという事だ。

俺は魔王を倒しウロンを復活させる。


因みに、もう一つの神器は邪神の中だそうだ。

まあこっちは復活させるのに生贄が必要っぽいから、却下ではあるが。


そんな事よりも……

神器の魔力を使えば魂の修復だけじゃなく、肉体も再生させられるってのは本当なんだろうな?


≪勿論です≫


それを聞いて安心したぜ。

魔王を倒すなんて危険を冒すんだ。

ウロンにはちゃんと約束を守って貰わないとな。


≪魔王を倒して復活させて貰ったとなれば、きっとマスターのあそこはびしょ濡れ間違いなしです≫


ああ、楽しみだ。

ウロンが驚いて慌てふためく顔を見るのが。


俺は絶対にウロンとの初Hをかなえて見せる!

待ってろよ、ウロン!



こうして俺の冒険は続く。

全ては、大好きな天使とHする為に。

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転生ガチャはFランクの大外れ~あれ?これ本当にFランクなのか?生き物以外何でも交換できるんだけど?~ 神視点のFランクは人間にとってチート極まりないSSSランクでした まんじ @11922960

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