Endroll Journey プレイ履歴

ちろる

個体識別番号:Qadir-12

Endroll journey ジャーナル

◆機体データ

・製造目的…7♠ 100→93

 製造:工場での労働作業、採掘作業など

 感情:好ましく思っていない

・機体概要…10♡&11♡ エネルギー93→72

 外観:遠目には人間に見える

 AIの性向:楽観的・社交的

 装備①:子機分離 専用のドローンを持ち合わせている

 装備②:防御機構 目立つ装甲を有す、バリアを張る機能があるなど

・経験、損耗…13♡ エネルギー72→59

 稼働経験:未稼働

 損耗状態:新品同然


特定危険作業用EVボット「Que-ality」

個体識別番号:Qadir-12

 

◆イントロダクション

君は一機のロボットだ。

君が今回起動したとき、人類はすでに滅んでいた。

滅んで間もないのかもしれないし、あるいはヒトとは地球にとって記憶の彼方の存在なのかもしれない。

何にしても、生き残っている人間は見つからない。

君は存在し稼働する目的を失ってしまった。

一瞬の後か、あるいは長い年月をかけて、君は探索を決意する。


居るかもわからない人間のための旅だろうか。

誰かのために作られた自分自身のための旅だろうか。

何の目的もない、旅のための旅だろうか。


終わった世界のあてどなき放浪が始まる。


◆ジャーナル

第一章:12♦(かつての生活の痕跡を感じさせる危険地帯) エネルギー59→47

目を覚ましたのは崩壊した工場の中、倉庫区画。

かつてそこを管理し監督していた存在はもう居ない。

エラーやアラートを鳴らす設備も既に稼働せず、ただただ静寂だけがそこにあった。

辺りには自分と同様の機体が未出荷のまま立ち並び、運がいいのか悪いのか、

内蔵電力で目を覚ました機体が立ち去った跡や、立ち去ろうとしてすぐ力尽きたガラクタが散見された。

倉庫入口にはロッカーと小さなデスクがあり、文字のかすれた書類と、黒ずんだ液体の入ったコップが雑多に置かれている。

そしてそれとは対照的に、床から顔を出す不発弾と思しき弾頭。

壁には弾痕と、灼けた跡。

何かしらの交戦が行われたあとだったのだろうか?

軽く埃の舞う中を建物の外へと向かってみれば、不発弾の可能性と崩壊の危険を示す「立入禁止区域」という標識が敷地の外れに立っていた。


第二章:4♠(激しい破壊や戦闘の跡が残る商業施設) エネルギー47→43

記憶は何もない。もちろん記録も。

監督官に従って人類に寄与する作業をすべしとアルゴリズムが囁く。それが自分の役目なのであれば従おう。

記録回路をアクティブに切り替える。自動でジャーナルが記されていく。この道中を監督官に、人類に伝えるために。

運が良ければ残存した機体のことを伝えられるかもしれないし、経験を活かして他の個体とは違う作業を割り振られるかもしれない。

崩壊した工場が建っていたのは、同様に崩壊した都市の外れであった。

目の前にはガラス張りの立派なビルがあり、表に回ってみるとどうやらそこは商業施設だったようだ。

地上7階、地下2階。

地上階にはブランドの看板を掲げた衣服店と化粧品店舗が立ち並んでいた形跡。

頭部前方気筒の嗅覚センサーが、検知したいくつかの化学物質を知らせてくる。

フロアガイドを見てみれば、上方階に工具などを扱うフロアもあるようだが、

まさかそこで監督官とボットが作業をしているということはあるまい。

飛散したガラスと倒れたブランドの看板を踏み越え、ビルの出口へと向かった。


第三章:3♧(静謐な教育機関) エネルギー43→40

舗装の隙間から雑草が覗く大通りを市街の中心部に向かって歩いていくと、高さ2mほどの黒い柵に覆われた区画に突き当たった。

道が左右に伸びていて、そしてそれに沿ってずっと柵が続いている。

柵の内側には木々が並び、その奥に広いグラウンドのようなものが見える。

いつまでもつか分からないバッテリーを温存することも考え、腕部トリガーからワイヤーフックを射出し柵を乗り越えて敷地に入った。

着地と同時に足元の落葉が音を立てる。少し離れたところから鳥が何羽か飛び立っていった。

そこは、大きな大学の構内であった。

しんと静まりかえり、全くの物音がない。小さな駆動音だけが自分から発せられている。

グラウンドの中央から子機のドローンを飛ばし、上空からの写真を撮った。ちょうど敷地の反対側にある正門らしき場所へと向かう。

建物の中は昼でも薄暗く、埃っぽい。

学祭や何かのイベントに向けての準備だったのであろうか、風化して読めないポスターがところどころに張られていたり、何かのスローガンが書かれていたであろう横断幕や手旗が落ちている。

正門が見えてきた頃、文字の判読が可能な手旗を1つ見つけた。

「???での??人強制労働および????の権利を侵害する??動員令に反対!」

果たして彼らが「反対」しようとしていた問題は今でも残っているのだろうか。

目に飛び込んでくる饒舌さを持つフォントに価値を感じたため、背部駆動装置にその手旗を差して持っていくことにした。


第四章:10♧(静謐な研究施設) エネルギー40→30

大学の敷地を抜けると、その向かいには大きな研究施設があった。

大学と同じ名前を掲げているところを見ると、きっと関連施設なのであろう。

バイオテック〇〇という文字と、白を基調とした内装。

かつて清潔感に包まれていたであろう屋内も、今では塵が積もる廃墟である。

エントランス正面の地下へ続くエスカレーターは瓦礫で埋まり、崩落した上層階の先に天井はなく、薄灰色の空が見える。

瓦礫を滴った雨が作ったものだろうか、水たまりに水滴の落ちる音だけがどこからか響いていた。

アラートコード:LB2098-1130 内蔵バッテリー残量30%。充電設備へ向かってください。


第五章:10♦(かつての生活の痕跡を感じさせる研究施設) エネルギー30→20

研究施設の中を移動してみると、食堂および従業員区画と書かれた棟が崩壊せずに残っていた。

入口は二重扉になっており、1つ目の扉をくぐった時点で前の扉が開かなくなった。

小さなスピーカーから、消毒液の散布がアナウンスされる。

ボディに損傷があってはまずいと少し身構える。

しかし、天井のノズルからはシューという音と共に数摘の水が垂れてきただけで、すぐに正面の扉が開かれた。

中に入ると従業員用の食堂が広がっており、突然の闖入者に驚いた何匹かのネズミが声を上げて散り散りに逃げて行った。

整列している長机の上にはトレーや食器が置き去られ、厨房の近くには大量のネズミの糞が落ちている。

彼らにとっては天国のような場所であったろう、すぐに立ち去るから許しておくれ。

食堂の先に見える裏庭へ、ガラス張りだったと思しき窓から外に出ることにする。


第六章:12♧(静謐な危険地帯) エネルギー20→8

なぜこの研究施設があれほど崩壊していたのか、その理由が分かった。

裏庭に出てみると、たくさんの植物が植えられていた。しかし、歩を進めるにつれ次第に枯れ果てたものが多くなっていく。

カリカリカリ、と音を立て始めるガイガーカウンター。

数十分歩くと、何の生命も存在しない半径数百mほどの荒野が見えてきた。

機器が何種類かのアラートを発し始める。

アラートコード:SN9999-0093 放射線検知・作業内容要確認。

荒野の端に立つと、中心に見えたのは建物の残骸。

アラートコード:SN9999-0095 放射線濃度上昇中・作業内容要確認。

そして散らばる無数の瓦礫と、私の体の一部によく似たパーツ。

アラートコード:LB2098-1129 内蔵バッテリー残量15%。速やかに充電設備へと向かってください。

きっとここが私の職場ではなかろうか。中心に向かって進む。

充電をせねばならない。他の機体がこれだけあったということは充電設備も間違いなくあるだろう。

監督官は居るだろうか。作業をする機体が足りずに困ってはいないだろうか。

私の記録をどう扱うだろうか。街はずれの工場の機体は役に立つだろうか。

この記録を伝えたい。


第七章:9♠(激しい破壊や戦闘の跡が残る製造設備)

はじめ小さかったガイガーカウンターの音は、いつしかガリガリガリという音に変わっていた。

空襲を受けて崩壊し、小さな原子力プラントが爆発した兵器工場の跡地。

そこに、ガイガーカウンターの音と「まもなく駆動時間限界です」という音声を響かせながら、一機の工業用ボットが近付いていく。

崩落した建屋の内部には小さなクレーターが出来ている。

そのクレーターに溜まった汚水に浮かぶいくつかの白骨。

ピー。駆動時間限界です。シャットダウン中…。

水溜まりの淵に立って、一体のロボットが頽れる。

その底に沈む同胞らを、そのセンサーは感知しただろうか。

背中に生えたアンテナと手旗が、風に吹かれて揺れた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Endroll Journey プレイ履歴 ちろる @chiroru5454

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ