19日目(金曜日 仮)白い部屋の午後「私が分かったこと」
今日も、朝から雪が降っている。否、もしかして、夜中から降っていたのかもしれないが、昨日よりも20cmくらい積もっただろうか。
そういえば、今朝の薪割りの時に気が付いたが、小屋に薪が補充されていた。果たして、補充が日曜日の黒い服の男の時なのか、一昨日の清掃員の時なのかは定かではない。とにかく、気が付いたのが今朝だった。
小屋に薪が補充されている、ということは、私はまだ、この部屋でしばらく暮らさなければならないのだろう。
私は、この部屋と白い部屋で、今まで、ずっと、定められたルーティーンに従って規則正しく暮らしてきた。
朝の25本の薪割り、洗濯、冷蔵庫にあるあらかじめカットされた食材を見てメニューを決めての調理と食事。白い部屋への入室、入浴… やっていないことといえば、黒い服の男から指示された読書くらいのものだ。しかし、その読書だってルーティーンには書かれていない、いわば、努力事項のようなものだろうから、許されるだろう。
そして、分かったことといえば、幾つもない。
季節が冬のこの部屋で、私は独りで暮らしている。この部屋の所在地は不明。ただ、海の近くにあることは間違いない。そして、あの海はおそらく日本海だろう。理由は、こんなに雪が降るからだ。
訪問者は、水曜日の女の清掃員が二人に、日曜日の黒い服の男。
私の家族は存在が不明で、私の年齢や職業も不明。おそらく、この部屋に来るまで独り身だった可能性が大きい、それくらいだ。
そして、小屋に薪が補充されているように、私の此処での生活がこれからも続いていくことが暗に示されている。
明後日の日曜日。
今までの実績から、黒い服の男が三回目の訪問があるはずだ。
なんとしてでも、あの黒い服の男の堅い口を割らせたい。どんなに口が堅かろうと、いろいろな疑問に答えてくれそうなのは、あの男だけだと思うからだ。
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