第60話 最高の主役

ピーー


相手ボールで後半開始

僕はホイッスルと同時に全力ダッシュ

相手に向かって

ボールに向かって

僕の勢いに焦った相手はすぐにパス

不思議とパスを出す方向が分かり

相手がパスを出すコンマ数秒前

僕はそっちに走っていた

相手はまた慌ててパス

おもいきり足を伸ばしてカット

ボールを奪って攻撃開始

必死にボールを奪い返しに来る相手

足を出してきたのでダブルタッチでかわして前に

また別の相手が追いかけて来る

足裏でボールをストップ

僕に合わせて相手も止まる


&ゴー


一瞬で置き去りにした


ディフェンスが詰めて来る

ボールをまたいでステップオーバー

相手はつられない

そして


シザース


シザース


シザース


相手は混乱して下がりながら転んでしまった

あっと言う間にキーパーと1対1

キーパーはあのダイスケ

絶対に飛び出して来る


ほらね出てきた


僕はかまわずシュート


でもこれはキックフェイント

さすがダイスケ引っかからない


どんどん距離が縮まってくる

ギリギリまで引き付けておもいきり


シュート


ダイスケは体全体でコースをふさぎながら横になる



またこれもキックフェイント


倒れながらなお食らい付いてくるダイスケをかわして無人のゴールに


シュート


しかしまたまたキックフェイント


絶対来ると思ってたよ


ケースケがスライディングでシュートブロック


ケースケをかわした僕に遮ぎるものは何も無かった




ゴールネットが大きく揺れて

アキラさんがガッツポーズ

ベンチのみんなもガッツポーズ

フィールドのみんな僕の所に走って来て

背中を叩かれたり頭をグシャグシャにされたりハグされたりで揉みくちゃにされた


アキラさん

僕、自信持ってやれました


川嶋コーチ

スイッチ入ったみたいです


本多コーチ

goodって言ってくれますよね?


村上コーチ

最高のチームを紹介してくれて

ありがとうございます


父さん

僕、主役になれたよ

父さんの言ってた最高の主役に




生まれて初めてゴールを決めたこの日

僕は生まれて初めて

ハットトリックを決めた



人生最高の日だった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る