第59話 カチッ
僕はビブスを手に取りベンチで下を向いて座っていた
するとアキラさんが
「空?なにしてんの?」
「…交代ですよね?」
アキラさんは不思議そうに
「交代?したいの?」
僕は大きく首を横に振った
「自信てな〜んだ?」
訳が分からず黙っているとアキラさんは
「自分を信じるって書いて自信。自分を信じろ。自分が今までやってきた事を信じろ。」
そう言って僕の背中を叩いた
1年生もみんな集まって来て
「俺の気合いも持ってけー。」
「俺のもー。」
僕の背中を叩きながら気合いを入れてくれた
凄く凄く嬉しかった
今度は嬉しくて泣きそうになった
アキラさんは
「前半楽しそうじゃなかったな?サッカーは楽しむ事が1番。楽しんだ方が勝つ。さぁ楽しんでこい。」
「ヨッシャー。」
「やるぞー。」
このチームに入って良かった
多分1000回くらい思ってる
嬉しくなった僕は思わず
「キャプテン。円陣組みましょう。」
ユウト君は
「後半からか?」
でもアキラさんが
「いーね。みんなやろうぜ。」
そう言ってみんなで肩を組み出した
ん?
なんだこの違和感は
ふと横を見るとアキラさんも一緒に肩を組んでいる
これにはさすがに
「あんたは違うだろー。」
みんなでいっせいにつっこんだ
「なんだよ。俺だって仲間なんだからいいだろ?時間無いから早くやろうぜ。」
アキラさんが言うとユウト君は少し呆れた感じで
「しょーがねー監督だな。」
そう言っておもいきり息を吸い込んだ
「死ぬほど楽しもう。ぜってー勝つぞー。」
「オオオオオオオオオオオオオオオー。」
こんなに大きな声を出すのは生まれて初めてだった
すると
『カチッ』
どこからか音がした
体が熱くなってウズウズしてきた
なんだろ?
この感じ
早く走りたい
早くボールを蹴りたい
早くサッカーしたい
僕はこのウズウズを止められなかった
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