砂糖と塩

ラハコネン

第1話

私は、恋をした。

産まれて初めて恋をしたのだ。


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「 わっ 、 」


私の 名前は 砂糖 瑠璃 。 今年から 高校生になる 、 ピカピカの1年生だ 。

私は 産まれてから 15年 、1度も恋をしたことがなかった。イケメンと言われるような人を見たりしても、特にきゅんとしたりしなかったし、あまり良いとは感じなかった。

友達が恋バナをしている時は、話についていけずにいつも困惑していた。

でも、そんな私も もう高校生だ。そろそろ恋をして、彼氏を作って、お母さんに紹介しよう! そう、心の中で意気込みながら学校の門をくぐろうとした。

その時だった。


『あ 、 大丈夫 ? ごめんね 、 ぶつかっちゃった みたいで 。 』


黒髪の、キレイなストレート。

日の光を浴びて、キラキラと輝いているように見えた。

背も170cmほどで、黒い宝石のような瞳をしている。




私は、産まれて初めて "恋をした"



「 え 、 あ、 」


心臓が物凄いはやさで動いている。

人生で1番はやいと胸を張って言えるほどはやい。

どうしよう、何か言わないと。 そう思い、なにか言葉を発しようとするが、上手く言葉にできない。


『 大丈夫 ? どこか 強く ぶつけちゃった ? 』


心配をしてくれている姿をみ、咄嗟に

だ、大丈夫です !! めっちゃ 元気ですよ !!

と大声で叫ぶ。

あぁ、周りからの視線が痛い 。


『 元気 そうで良かった 。 じゃあ 、 私は 行かなきゃ だから 、 もう行くね 。 』


「 あ、 待って 、! 」


腕を掴み 、 引き止める。


『 どうしたの ? 』


困惑した 顔で こちらを 見つめてくる。


「 あ 、 あの 、 お名前は なんて 言うんですか ?」


この一言を言うだけで、私の心臓は張り裂けてしまいそうだった。


『 あぁ 、 私の名前 ? 私の名前は 紫塩 美琴 。また 何処かで 会ったら よろしくね 。 』


美琴さん 。

美琴さんかぁ。

名前を知れて嬉しくなった私は、心の中で何度も "美琴さん" と呼んでいた。

その間に美琴さんは何処かに行ってしまった。


美琴さんが何処かに行ってしまった後でも、私の頭の中は美琴さんでいっぱいだった。


凄い綺麗だったな、モデルさんかな、またお話したいな、


ずっとこんな調子だった。


そんなことを考えながら教室に入ると、そこには美琴さんが居た。


ッスゥー…… え????


こんな漫画みたいな展開、想像していなかった。

背が高かったので、先輩だと思っていたのに、まさか同じクラスだったなんて。


『 あれ 、 さっきの子 だよね 。 』


美琴さんは 私を見つけ、声をかけてくれた。

好きだ。本当に好きだ。

心の中の私は常に好きという感情が溢れ出ていた。


「 そ 、 そうです ! 砂糖 瑠璃って 言います !」


『 へぇ 、 瑠璃ちゃんって 言うんだ 。 よろしくね。 』


名前を呼ばれてしまった。

どうしよう、私は今日命日なのかもしれない。

私は明日から生きていけるのだろうか。





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『 瑠璃ちゃん は 、何か 好きなこと とか あるの ? 』


休み時間、私は何故か美琴さんと会話をしていた。


「 す、 すす、好きなこと ですか !? あ〜 、 え〜っと 、 」


う〜ん、と真剣に考えている私を見ながら、美琴さんは笑っていた。

あぁ、笑っている姿も美しい。


『 そんなに 真剣に 考えること かな ? 』


くすっと 微笑み 、 私を見つめる美琴さん。


「 だ、 だって 、 美琴さんの 質問 だし 、 ちゃんと 応えなきゃって 思って … 」


『 全然 気楽に 応えてくれていいのに 』


美琴さんは また 笑い 、

素のまんまで 話して欲しいな

と 一言加えた


その綺麗なお顔に言われちゃったら、言うこと聞くしかないじゃないですかぁ!!


「 わ、 わかりました … じゃなくて 、 わかった ! ちゃんと 、 素で話しま… 話す ! 」


若干 敬語が出そうになるが、必死に抑えタメ口で話す。

そんな私の姿を見て、美琴さんはまた微笑む。

なんて素敵な笑顔なんだ。私は天に召されそうになっていた。



私は本当に明日から生きていけるのか、心配になった。

どうにかなるはず! そう思い、私はまた、美琴さんと 沢山 お話をした。




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美琴目線




『 あれ、 』


校門をくぐろうとした時、160cm程の茶髪でショートの子を見つけた。

正直 どタイプだった。

どうしたら あの子と 仲良くなれるだろう 。

考えても どうせ 分からないだろうから 、 とりあえず ぶつかってみることにした 。


「 わっ 、 」


その 茶髪の女の子はとても可愛い声だった。

あ、好きだわ 。

その瞬間 、 私は その子に完全に惚れてしまった 。


『あ 、 大丈夫 ? ごめんね 、 ぶつかっちゃった みたいで 。 』


わざと ぶつかったのだが 、そんなことはどうでも良い 。 とにかくこの子と仲良くなりたいのだ 。

その子は

え 、 あ、

と困惑している様子だった 。

ヤバい 、強く当たりすぎたかもしれない。


『 大丈夫 ? どこか 強く ぶつけちゃった ? 』


心配になり、そう口にする。


「 だ、大丈夫です !! めっちゃ 元気ですよ !!」


良かった。こんなに大きい声が出せるなら大丈夫か。

そんなことよりも本当に可愛いな。めっちゃ虐めたい。

心の中の私はこの子をはやく 虐めたいという気持ちしか無かった。


『 元気 そうで良かった 。 じゃあ 、 私は 行かなきゃ だから 、 もう行くね 。 』


この場に居たら、更に私はこの子を虐めたいと思ってしまう。変なことをする前に、はやくこの場から立ち去らないと。仲良くなるのはまた今度でも大丈夫だし。

さっとこの場から立ち去ろうとしたが、何かに腕を掴まれた。


「あ 、 待って ! 」


その子が、私の腕を掴んでいた。

今にも折れてしまいそうな、とても細くて白い腕で。


「 あ 、 あの 、 お名前は なんて 言うんですか ?」


その子は顔を真っ赤にしながら、私に名前を聞いてきた。

あれ、これって脈アリ?


『 あぁ 、 私の名前 ? 私の名前は 紫塩 美琴 。また 何処かで 会ったら よろしくね 。 』


私は平然を装い、名前を伝えると、急いでその場から立ち去った。


なんて可愛い子だったんだ。私も名前を聞いておけばよかったな。あの子は何組なんだろう。


色々考えながら、教室に入り、自分の席でぼーっとしていた。


『 あ 』


ガラガラと 音を立ててドアが開くと、そこには私のどタイプのあの子が立っていた。


『 あれ 、 さっきの子 だよね 。 』


私は満面の笑みで、その子に声をかけた。

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砂糖と塩 ラハコネン @tooru3

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