エピローグ

「とまあ、こんな感じだよ。お父さんとお母さんのなれそめは」


「……」


「どうした?」


「いや、なんか……マンガかよって」


「まあ、リアリティはないな……」


「ほんとー? お母さんのほうが先にお父さんのこと好きだったの? 脚色してない?」


「してないしてない。自分でも信じられないけど」


「なんの話してるの?」


「あ、お母さん! 最初はお母さんの方がお父さん好きだったって本当?」


「え?」


「いや、僕たちのなれそめを聞きたいっていうからな」


「ふーん」


「おぼえてるだろ? 結構色々あったし」


「えー? そうだっけ?」


 あおいが悪戯っぽく舌を出す。

 あのときと同じ、眩しい笑顔が浮かんだ。


「忘れちゃった」





『おぼえていないのは彼女だけ』 <了>

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おぼえてないのは彼女だけ 1103教室最後尾左端 @indo-1103

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ