2024年1月24日 雪が白くなかったとしたら

 日記を再開しよう。誰かに向けて書くという行為をしないと書き方を忘れてしまう。内側に向かって自問自答の考えを続けていると生まれないものもある。


 小川哲をずっと読んでいた。とても頭がいいんだろうなと思った。賢い人の文章は曖昧でわかりづらい部分が少ない。だからすっと頭に染み込む引っ掛かりもないからリーダビリティが上がる。

 

 今日は雪がひどくて仕事を休んでしまおうと思ったけれどそうもいかず外に出た。アパートの階段にふかふかの雪が乗っている。長靴で踏むとさくっとマカロンでも食べたときみたいな音がして心地よい。道はまだ除雪が入ってない。こんな中会社に向かうなんて相当な社畜じゃん?

 風は弱く、触れれば消えてしまうような雪が音もなく降っていた。外に出てる人は少ない。歩道の柔らかな雪を踏みながら進むことにした。遅刻したってなにも言われないだろう。雪が降ると一面が白に染まる。世界の色をこんなにも簡単に染めてしまえる現象は雪しかない。いろいろな色の雪の色を想像しながら視界に広がる白色を別の色に染めてみる。お菓子のようなピンク。飲み込まれそうな黒。毒々しい紫。考えるほど雪が白くてよかったと思った。ふとその時白さの中に鮮血のような赤色が見えた。

 その赤色はくるくると回っていた。傘だ。学生服にベージュのコートを着た女の子が赤色の傘をくるくると回している。こんな寒いのにスカートを履いているんだ。

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架空日記 りのま @rinomaw

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