第6話 心拍数とは……
ぱち ぱち ぱち ぱち……
乾いた拍手が病室に鳴り響いた。
「その通りでございます。
人の生き方は十人十色。
どれが正解、というものはございません。
今、あなた様は、自分の延命よりも
自分の思い出を大事にしたい、
とお考えになられた。
そのような生き方もあるのでございます」
そう言うと、死神の姿は薄れていき、消えていった。
俺は、しばらく何もできず、天井を見上げていた。
今のは何だったんだ? 夢でも見ていたのか?
ふと、モニターを見てみた。
ピッ ピッ ピッ ピッ ……
相変わらず、俺の心拍数が表示されている。
生きているって何だろう?
心臓が動いているということ?
それだけではない。
ドキドキした思い出、それがいつも
いい思い出だったとは限らない。
しかし、どんな思い出でも、
一度しかない人生の大切な思い出だ。
俺にはそう思えた。
ドキドキの理由。
それは、俺が生きていた証。
ピッ ピッ ピッ ピッ ……
<了>
何時何分? 心臓が何回動いた時? 神楽堂 @haiho_
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