第2章 学園入学

第1話 大罪人は学園に入学する

 5年後を1年後に訂正しました。

――――――――――――――――――――――――


 ――1年後――


 エマが俺の部屋に入ってくる。


「レイン様! 準備は――出来ているようですね……」

「当たり前だ」


 俺は学園から届いた標準サイズ・・・・・の制服を着て、エマに答える。

 今日から俺は学園――王立魔剣学園に通うことになった。


 因みに魔剣と言うのは、魔法と剣をただ短くしただけらしい。

 始めはこの世界では魔剣の使用が当たり前なのかと思ったが、やはり此方の世界でも魔剣は希少なものなんだとか。

 此方の世界でも是非とも欲しいな。


 そんな事を考えていると、エマが此方をじっと見ている事に気づく。


「どうした?」

「いえ。とても急なのですが……痩せましたね、レイン様」

「本当に急だな。だが、褒め言葉として受け取っておこう」


 俺は褒められて少し舞い上がる。

 この世界に来たから一番頑張った事だからな。


 エマの言う通り、俺は遂にあのブヨブヨボディから卒業することができた。

 現在では腹筋も割れているし、前世とは比べ物にならないが、筋肉も結構付いてきている。

 

 まぁ俺の体についてはこのくらいにしておこう。


「エマ、俺がこの屋敷に帰ってくるまでよろしく頼むぞ」

「はい、お任せ下さい! レイン様がお戻りになられるまでに更に発展させておきます!!」


 今回エマは俺から離れてこのお屋敷に残ってもらうことにした。

 本来であれば貴族なら一人くらいはメイドか執事を学園に連れて行くものだが、俺は全部自分でできるし、何より我が家は現在も深刻な人手不足なので連れて行く人員が居ないというのもある。


「それでは行ってらっしゃいませ」


 エマが笑顔で言ってきた。

 そう言えば俺はこの世界に来て初めて外に出る。

 不安な事もあるが、前世の全世界を敵に回した頃に比べれば全く問題ない。

 

「ああ——行ってくる」


 絶対に学園時代に強くなって見せる。





***






 俺は馬車に揺られて学園へ向かう。

 俺の領から王都はそこまで離れていないが、この世界の乗り物が馬車しかないので、物凄く時間が掛かる。

 前世では魔導車と言う魔力を使って動く乗り物があり、時速100kmくらいまで速度が出ていた。

 しかし馬車は20kmくらいしか速度が出ないので、比べるまでも無く此方の方が遅い。


「これなら俺が走った方が速いな……」


 俺が本気で走れば多分この3、4倍の速度で走れるはずだ。

 しかし……


「それはいけません。レイン様は公爵家当主様なのですから歩きなどもっての外です」

「分かっている。だから一々指摘してくるな、ソーサー」


 半年前にうちに入った執事のソーサー。

 彼は男爵家の当主からクビにされていた所を俺が引き取った。

 執事が1人しかいない俺の家には素人よりも経験豊富な人材が欲しかったので、そう言う意味でも丁度良かった。


「すみませんレイン様。分かっていてくださるのであれば私からは言う事はありま———ッッ!?」


 ソーサーの言葉を遮る様に馬車が大きく揺れた。

 これは道に落ちている石にぶつかったとかの規模ではない。

 それを分かっているソーサーは急いで外に出ようとするが、俺は手で止める。


「レイン様! どうして止めるのですか!?」

「お前はここに残っていろ。俺が片付ける」


 丁度退屈していた所だし、公爵家の馬車にぶつかった不届者に思い知らせないとな。


 俺が乗っている馬車を襲ったらどうなるのかを。



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